著者
三道 弘明 河合 一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.253-254, 1990-09-04

近年のワードプロセッサはその低価格化により,自身の急速な普及を実現し,業務から個人的趣味に至るまで利用されている.このようなワードプロセッサを用いて作成した文書ファイルは,通常フロッピーディスクに保存される.しかしながら,次に述べるような理由により,苦労の末に作成した文書を消失してしまうことも少なくない.1)文書を保存することを忘れて,ワードプロセッサのスイッチを切る.2)作成中の文書の上に,誤って他の文書を読み込んでしまう.なお,1)による文書の消失を防止することを目的として,バッテリーによるバックアップ機能を備えていることが多いが,それもバッテリーが切れていないことを前提としたものである.従って,ワードプロセッサ自身にオートセーブ機能を実現し,文書作成中に随時保存していくことで,上述のような文書ファイル消失による損失を少なくすることも必要である.このようなオートセーブ機能は,ソフト的に容易に実現可能である.しかし,そのセーブをいつ実施すればよいかという問題は依然として残されている.本研究では,以上のような観点から,オートセーブ時期を決定するための定式化を行うとともに,最適オートセーブ時期について考察する.
著者
林坂 弘一郎 三道 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1819-1829, 1999-12-25
被引用文献数
5

受注開発されたソフトウェアが,信頼性受け入れ検査に合格し顧客に納入された後,開発段階におけるテストで検出,修正できなかったフォールトが原因となってソフトウェア障害を発生させることがある.このような場合,開発業者が直接フォールトを修正するか,あるいは保守代理業者が開発業者の代わりに保守を行っている.しかし,このような保守は,(1)その経費がソフトウェア開発費用に含まれている,(2)保守契約を結んでいない場合にはその都度有料で実施される,(3)保守契約を結んでいる場合には無料で行われる,のいずれかである.本研究では,保守サービスを契約しない場合の価格や,保守サービス契約に要する価格に対する適切な設定方法を明らかにすることを目的とし,ソフトウェアの信頼性理論とゲーム理論に基づいたソフトウェア保守サービス契約に関するモデルを提案する.
著者
三道 弘明
出版者
神戸学院大学
雑誌
神戸学院大学経営学論集 (ISSN:13496727)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.129-136, 2005-03-20

化学製品などの生産工程の最終段階で,製品の重量を秤で測定し,結果を製品に記載するという工程が存在する場合がある.このとき,計量作業中に秤に狂いが発生し,製品に記載された重量と実際の重量が異なってしまうことが少なくない.ここでは,作業の直前である朝と直後である夕方の1日に2度,秤に対して点検を行い,夕方の点検で秤に異常が検出された場合には,これまでに計量した製品を計り直すという状況を考える.なお,計り直した製品は,翌日朝の点検を待たずにそのまま出荷される.しかしながら,計り直し作業中に再度秤が狂ってしまうこともあり,この場合には記載重量と実重量が異なったまま製品を出荷することとなる.但し,秤に対する点検は調整作業と同じ作業であり,点検が終了した秤は正常な状態にあるものとする.本研究では,こうした状況に対して,計り直しの際にすべての製品を再計量するのではなく,最後に計量した製品から過去に遡って一定の割合だけを計り直すことを考える.この上で,どれだけの量を計り直しすればよいかという計り直しの問題を取り上げ,その離散型数理モデルを構築した.ここでは,1日に計量すべき製品数をn(n=1,2,…)とし,夕方の点検で秤に異常が認められた場合には,最後に計量した製品から遡及してr(r=0,1,2,…,n)個だけ計り直すという方策を前提に,最適な計り直し個数の存在条件を明らかにした.
著者
三道 弘明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.249-254, 2009-05-01
参考文献数
1

OR/MSの教育に携わっている研究者の多くは,理工系出身であることが多い.彼らが文系でOR/MS教育を担当する場合には,理系,文系の文化の違いなどにより,大きな戸惑いを見せることが少なくない.ここでは,理系,文系における教育の考え方や文化の違いについて概観し,学生の行動を単純な経済学的モデルで説明した.次いで導入科目として位置づけられたOR/MSに焦点を絞り,学生の行動を勘案した効果的な教育方法を,筆者の経験を中心に展開した.なおそこでの考え方は,経験に重点がおかれている関係上,かなり主観的ではあるが,何らかの参考になればと考えている.
著者
澤田 清 三道 弘明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.265-266, 1995-09-20

信頼性実証試験(Reliability Demonstration Testing)は、ハードウェア製品の開発段階終了後,そのハードウェアに目標とする信頼性が十分に実現されているかどうかの実証・確認を目的として考案された.ソフトウェアの品質保証が問題となっている今日,ソフトウェア製品に対してもこの信頼性実証試験の考え方を適用することは十分に意義のあることである.このような考え方に基づき,筆者らは,これまでハードウェアに対して提案されてきた信頼性実証試験の種々の方法のうち,規準型およびゼロ障害型の試験方法をソフトウェアに適用することを試みた.規準型の信頼性実証試験では,ハードウェアに対するそれと同様に,統計的検定論の考え方に基づいて,生産者リスクと消費者リスクの値を指定する方法により定式化した.一方,あらかじめ定められた試験中に発生した障害回数が0のときのみ対象製品を合格とするゼロ障害型の信頼性実証試験においては,設計変数が1つだけであるので,生産者リスクまたは消費者リスクのどちらか一方の値を指定することにより設計可能であった.なお,対象としては,計算機のOSや生産システムの制御ソフトウェアのように時間に関して連続的に用いられるソフトウェア(以後,連続型ソフトウェアと呼ぶ)と,通常の数値計算ソフトウェアのように時間に関して離散的に使用されるソフトウェア(以後,離散型ソフトウェアと呼ぶ)の2通りを考えた.本研究では,ソフトウェアのゼロ障害型信頼性実証試験に対して,Kullback-Leiblerの情報量を用いた新しい設計方法を提案する.なお,ここでも,連続型および離散型の2通りのモデルを扱う.
著者
三道 弘明 ROY Larke
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,対象を小売業に絞り,そこに存在するいくつかの問題を発掘するとともに,その問題を科学的に解決することを意図した数理モデルを構築した.本研究で発掘した問題は次の4種類である.(1)小売業において新規取扱商品が売れ筋商品であるのか死に筋商品であるのかを如何にして短期間で判断するか.(2)小売業における棚卸しは税法上義務付けられたものと,自主的に行うものとがある.この棚卸しの適切な頻度はどのようにして決めればよいのか.(3)特別展示商品は,展示量が多いほど売れ行きも良い.このような性質を持つ商品の最適発注量や発注点はどのようになるのか.(4)パーソナルコンピュータ等を取り扱う小売業では,追加料金を支払えば,小売業者が独自に実施しているより長い期間の保証契約を行うことができる場合が少なくない.このような場合,追加料金及び保証期間終了後の1回当たりの修理に関する適切な価格設定が問題となる.上に列挙した4種類の問題に対し,(1)テスト販売政策に関する数理モデルを構築し,コンビニエンスストアのデータに基づきその有効性について検証を行った.(2)最適棚卸し頻度に関する数理モデルを構築し,小売業現場でのヒアリング調査結果に基づき有効性について検証を行った.(3)特別展示商品の最適発注量に関する数理モデルを構築した.(4)保証期間延長契約問題を,小売業と消費者間のゲームとして捉え,契約および契約期間終了後の1回当たりの修理に関する最適価格を求めた.
著者
林坂 弘一郎 三道 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.454, pp.125-128, 2002-11-08

現在の我が国では,特に家電製品のような製品は,標準で1年間の保証を伴うことが多い.保証を伴う製品の製造業者は,故障によって将来必要となる保証費用のために売上の一部を保証準備金として確保しておかなければならない.適切な保証準備金を設定するためには,必要となる保証費用を正確に見積もることが重要である.一方,通常の保証においては,保証期間中の故障に対して修理を行うが,保証期間中に何度も故障を繰り返す場合には,顧客からの信用を失わないために,サービスとして修理ではなく製品そのものを取替える製造業者が少なくない.しかしながら,このようなサービスを行うことによって,当初見積もっていた保証費用を大幅に超過してしまう恐れがある.したがって,取替えを行うことによって増加する費用を正確に見積もることが必要である.本研究では保証期間中の最初の故障に対しては小修理を行うが,以降の故障に対してはすべて新品に取替えるという保証を取り扱う.このような保証に対して,製造業者に必要となる期待費用を定式化する.更に,(a)最初の故障にのみ小修理を行うが以降は対応しない,(b)すべての故障に対して小修理を行う,という保証政策と期待費用の比較,分析を行う.