著者
松山 博明 中村 泰介 須田 芳正
出版者
京都滋賀体育学会
雑誌
京都滋賀体育学研究 (ISSN:21877866)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-9, 2018

本研究では, サッカー試合中における当該チームの課題を定量化するために新たに開発した評価基準尺度を用いて,ブータン王国サッカー代表チームとU-19代表チームの競技力向上に関する実態調査を行うことを目的とした.2011年に開催された南アジアサッカー選手権大会とU-19アジア選手権の試合を分析した結果,以下のような内容が得られた. 技術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,パスの成功率が低く,ボールを奪われた比率が高かった.戦術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,ボール支配率が低く,シュートの本数が少なかった.体力面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,試合終了前15分間の筋肉疲労での退場者が多く,試合終了前15分間に失点する場面が多かった.心理面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,選手の冷静さを欠く判断ミスによる退場や試合開始後15分間の失点が多かった.また,失点後に連続失点する回数が多く,試合パターンの変化を認識し,注意喚起することが出来なくなった.これらのことから,新たに開発した評価基準尺度の技術面,戦術面,体力面,心理面の4側面すべてにおいて対戦相手と比較して劣っていたため,試合を優位に進めることが出来なかったと思われる.
著者
小倉 圭
出版者
京都滋賀体育学会
雑誌
京都滋賀体育学研究 (ISSN:21877866)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-12, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
26

本研究の目的は, 内野手のゴロ処理において, 捕球時におけるステップ位置のばらつきと捕送球パフォーマンスとの関係を明らかにし, ステップ位置のばらつきがゴロ処理のパフォーマンスの客観的な評価指標になり得るか検討することであった. 大学野球選手および社会人野球選手24名を対象に, ゴロ処理の際の, 捕球位置を原点としたステップ位置のばらつきと捕送球パフォーマンスとの関係について分析した. その結果, 次のような結果が得られた. 1) 上位群は, ハーフバウンドの割合が有意に低く, 捕球成功率が有意に高かった. 2) 上位群は, 捕球位置の標準偏差が前後方向, 左右方向ともに有意に小さかった. また, ステップのばらつきと捕球位置の標準偏差(左右方向) との間に有意な正の相関がみられた. 3) 右足接地位置の標準偏差(前後方向) と送球動作時間との間に有意な正の相関がみられた. 4) 上位群は, ステップ角度が有意に大きかった. また, ステップのばらつきとステップ角度との間に有意な負の相関がみられた. 以上のことから, 捕球時におけるステップのばらつきは, 捕球パフォーマンスおよび送球パフォーマンスに影響を与え ることが考えられた. 本研究の結果は, 捕球時におけるステップ位置のばらつきが, 内野手の捕送球パフォーマンスを 評価するための客観的指標になり得ることを示唆する.