- 著者
-
青柳 悦子
- 出版者
- 筑波大学大学院人文社会科学研究科 文芸・言語専攻
- 雑誌
- 文藝言語研究 = Studies in language and literature (ISSN:21899304)
- 巻号頁・発行日
- no.71, pp.1-69, 2017
本論文は、文部科学省科学研究費基盤研究(C) 平成26-30年度「21世紀的視座から見る北アフリカ(チュニジア・アルジェリア)の現代文学状況」(研究代表者・青柳悦子),同(A) 平成24-29年度「アラビアンナイトの形成過程とオリエンタリズム的文学空間創出メカニズムの解明」(研究代表者・西尾哲夫),同(B) 平成26-29年度「アラブ=ベルベル文学の比較地域文化的研究体制の構築」(研究代表者・鵜戸聡)の補助を受けた研究成果の一部である.Ⅰ.はじめに\Ⅱ.予備的考察\ 1.小説における過去形と現在形の併用\ 2.フランス語の現在形の機能について\Ⅲ.『貧者の息子』の語りにおける現在形\ 1.語り手表出の現在形 [A]\ 1)語り手の存在と物語行為そのものの強調\ 2)過去と現在、物語内容と物語行為との接続\ 3)不可知の強調\ 2.一般的真理の現在形 [B]\ 1)格言的な一般論の頻出\ 2)ローカルな物語内容から普遍的な人間論へ\ 3)onの活用――場面をもとにした一般論の提示\ 4)真理の反転――フェラウンの相対主義\ 3.物語叙述の現在形 [C]\ 1)眼前描写の機能の拡張と語り手の位相\ 2)揺動的な叙述態勢――一貫した叙述態勢をとるスイユ版との比較\ 3)現在形の物語叙述への移行\ a.語り手の表出を契機として\ b.登場人物の主観性や知覚を契機として\ c.自由話法との接続\Ⅳ.おわりに