著者
齋藤 順一
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学人間社会学部紀要 = Jissen Women's University Studies of Humanities and Social Sciences (ISSN:24323543)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.119-131, 2022-03-31

本稿の目的は、臨床現場(特に保険医療分野)でCBT を使いこなすため、CBTにおける転移と逆転移の理解を深めることであった。そのために、まずCBTの治療関係や治療構造について整理し、CBTでは協働的実証主義という治療関係や治療全体の構造化により、転移と逆転移を最小限に抑えることで、効率よく現在の問題に取り組むことができるように図られていることを確認した。しかしながら、パーソナリティ障害の傾向が強いクライエントの場合、転移と逆転移についての洞察に注意を払う必要があり、対人関係スキーマを検討することの意義が述べられた。最後に、対人関係スキーマを検討するため、スーパービジョンを活用することや、セラピストのマインドフルネスが重要であることが述べられた。
著者
齋藤 順一
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学人間社会学部紀要 = Jissen Women's University Studies of Humanities and Social Sciences (ISSN:24323543)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.39-47, 2021-03-31

我が国において、うつ病に対する認知行動療法(cognitive behavioral therapy; CBT)は治療の選択肢の一つとして推奨されているが、人的・物理的に高コストであることが問題となり、実施率は低い。この問題を解決するため、コンピュータ・ベースやWeb ベースでの認知行動療法(computerized cognitive behavior therapy; CCBT)が期待されており、近年では、スマートフォンを用いたCCBT が注目されている。しかしながら、CCBT は、利用者のドロップアウトが多いことや、長期的に効果が持続しないことなどが指摘されている。うつ病に対するCCBT を発展させていくためには、うつ病に対するCBT の構成要素(有効成分)を理解することが役立つと考えられる。そこで、本稿では、うつ病に対するCBT の構成要素を検討している研究を紹介し、それらの知見を整理することで、うつ病に対するスマートフォンを用いたCCBT の展望について述べることを目的とした。 CBT の技法に関わる要素では、行動活性化、感動調節スキル(マインドフルネスを含む)が重要な構成要素であることが示された。一方、CBT の技法以外の要素が、重要な構成要素であることが示され、うつ病に対するスマートフォンを用いたCCBT においても、これらの要素を組み入れる必要があることが示唆された。具体的な方法として、チャットボットの利用などが考えられた。最後に、経験豊富なCBT 実践家や研究者が開発に関わることで、エビデンスに基づく包括的なCBT のスマートフォンアプリを開発していくことの必要性が述べられた。
著者
浅岡 隆裕
出版者
実践女子大学
巻号頁・発行日
vol.15, pp.59-76, 2019-03