著者
三木 健詞
出版者
拓殖大学教職課程運営委員会
雑誌
拓殖大学教職課程年報 = Annual report on teacher-training course in Takushoku University (ISSN:24344249)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.18-37, 2019-10-20

平成20年改訂の中学校学習指導要領社会科公民的分野において「文化」の学習の充実が図られたことから、その学習の位置付けを、過去の学習指導要領や解説との比較検討や教科書の記述分析を通じて明らかにした。この結果、「文化」の学習は、近年の「文化」を巡る動向を背景にして、従前より政治、経済、国際のどの単元とも深く関わっていることがわかった。平成29年改訂では、「文化」の学習を配置する社会単元が地歴分野からの接続により重点が置かれており、分野全体を見据えた「文化」の学習構想が求められる。
著者
戸川 点
出版者
拓殖大学教職課程運営委員会
雑誌
拓殖大学教職課程年報 = Annual report on teacher-training course in Takushoku University (ISSN:24344249)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.77-87, 2018-10-20

近年、ブラック部活ということばをよく聞く。ブラック部活とはどのようなものなのか。そもそも部活動とは教育課程あるいは学校教育においてどのように位置づけられ、行われているものなのだろうか。このような部活動の実態や歴史、学校教育上の位置づけなどを知ることは教職課程履修者にとって重要なことである。こうした観点からこれまで教育原理や教職論などで部活動や体罰について扱ってきたが、本稿はそうした授業の実践記録である。
著者
戸川 点
出版者
拓殖大学教職課程運営委員会
雑誌
拓殖大学教職課程年報 = Annual report on teacher-training course in Takushoku University (ISSN:24344249)
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-87, 2018-10-20

近年、ブラック部活ということばをよく聞く。ブラック部活とはどのようなものなのか。そもそも部活動とは教育課程あるいは学校教育においてどのように位置づけられ、行われているものなのだろうか。このような部活動の実態や歴史、学校教育上の位置づけなどを知ることは教職課程履修者にとって重要なことである。こうした観点からこれまで教育原理や教職論などで部活動や体罰について扱ってきたが、本稿はそうした授業の実践記録である。
著者
小木田 敏彦
出版者
拓殖大学教職課程運営委員会
雑誌
拓殖大学教職課程年報 = Annual report on teacher-training course in Takushoku University (ISSN:24344249)
巻号頁・発行日
no.1, pp.61-76, 2018-10-20

欧米が「マルサス的制約」を脱し、「高賃金経済」を実現したのに対して、日本は「低賃金経済」に甘んじていた。この結果、双方で独自の「風土」が生まれた。戦後の所得倍増計画により、日本経済は「低賃金経済」から「高賃金経済」へと転換したが、この転換には地域差があったため、歴史地理学は「裏日本」論を誕生させた。しかし、「高賃金経済」への全国的な転換により「風土」も大きく様変わりした。「低賃金経済」の「風土」の下、日本では「脱落や落伍」を強調する社会ダーウィニズムの物語が浸透した。このため、環境決定論に対する批判は気候的要因を説明因子にしたことのみに向けられ、被説明因子である植民地主義的な空間認識という本質的な問題を共有していた。また、計量地理学的な「空間的拡散」論も「風土」を考察の対象外としつつ、植民地主義的な空間認識を受け継いでいた。「脱落や落伍」という社会ダーウィニズムの物語により、日本の地理学では環境可能論が自然的優位性の議論に矮小化され、自然への働きかけの中で「風土」が形成されることも忘却されるに至った。そして、「裏日本」論も「脱落や落伍」の物語を踏襲することとなった。しかし、新たな「風土」の誕生とともに、「脱落や落伍」の物語は既に現実味を失っている。このため、新たな「裏日本」論が待望されている。
著者
小木田 敏彦
出版者
拓殖大学教職課程運営委員会
雑誌
拓殖大学教職課程年報 = Annual report on teacher-training course in Takushoku University (ISSN:24344249)
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-73, 2019-10-20

アメリカの文化人類学者クリフォード・ギアツは、自身の代表的著作のひとつである『インボリューション』の冒頭において、地理学の方法論批判を行っている。批判の矛先は環境決定論や環境可能論のみならず、経済立地論にも及んでおり、その日的は自らが「生態系」と呼ぶ独自の社会システム論的な分析の優位性を論証することにあった。このため、特に環境決定論批判に関しては、日本の人文地理学の見解と大きな隔たりがあった。他方で、フランスの人文地理学者オギュスタン・ベルクは、独自の風土論により環境可能論の可能性を押し広げてきた。ベルク風土論の核心部分は「通態性」という概念にあり、自然と文化、客観と主観、個人と社会という3点における二項対立図式を解体しようとするものであった。この観点から見た場合、ギアツのインボリューション論は近代化論のイデオロギーにより、主観と客観、個人と社会の「通態性」に欠けていた。ギアツとベルクの唯一の接点は自然と文化という二項対立図式における「通態性」にあり、この「通態性」はジャワ島(インドネシア)における棚田の風景美の産物であった。「インボリューション」という概念は、もともと審芙的な文化現象を分析するための概念であった。したがって、この概念を「伝統一近代」という近代化論的な二項対立図式から解放することで、ギアツとベルクの間にある垣根を取り払うことが可能となる。