著者
前田 兼徳 安部 貴之 鶴田 耕一郎 今田 真里 前田 由紀
出版者
一般社団法人 日本在宅血液透析学会
雑誌
日本在宅血液透析学会誌 (ISSN:24352519)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-18, 2023-04-20 (Released:2023-04-20)
参考文献数
11

血液透析患者にとって透析液の清浄化が必須であることは言うまでもないが,透析排水の水質管理も同じく重要な問題である.透析排水をそのまま公共用水域に放流すれば,環境負荷が懸念される.本稿では施設透析における透析排水についての一般的な考え方と法律上の規制について述べる.さらに在宅血液透析(Home Hemodialysis:HHD)における透析排水管理の重要性と問題点について述べる.HHDは長時間透析,頻回透析を可能にし,末期腎不全患者にとって有益な血液浄化療法の一つである.患者にとって利点の多いHHDを円滑に導入するためには,排水処理対策は不可欠である.HHDの普及のためには,地域や行政との綿密な連携が求められている.HHDについての社会への理解と環境が整えられていくことにより,多くの患者のQOLの向上に期待したい.
著者
山川 智之
出版者
一般社団法人 日本在宅血液透析学会
雑誌
日本在宅血液透析学会誌 (ISSN:24352519)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.5-10, 2023-04-20 (Released:2023-04-20)
参考文献数
4

2010年に作成した「在宅血液透析管理マニュアル」は,在宅血液透析(HHD)患者の増加,多様化に伴い実態にそぐわない部分が出てきた.また高齢者住宅で患者教育を行わず医師不在で透析を行いHHDとして診療報酬を請求する(いわゆる非自己管理型HHD)事例が問題となった.そこで日本透析医会はHHDを施行されている医療者の意見を参考にしながら改定作業を行った.基本的には在宅血液透析の安全性を重視することを大前提とする一方,安全性や治療の合理性を損ねる恐れのある制約は減らすこととした.介助者の必要性については論点となったが,今回は安全性の観点から介助者は必要という結論となった.また非自己管理型HHDについては,改訂版では本マニュアルでは扱わないと明記し実質的にHHDとしての請求を禁止した.今後も医療技術の進歩も踏まえ関係者と議論を継続しながら, 必要があれば再度のマニュアル改訂も考慮したい.