著者
王 書瑋 WANG Shuwei オウ ショイ
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-12, 2009-03-20

日本近代文学館発行の『芥川龍之介文庫目録』を見ると、和漢書四六五点一八二二冊のうち、五十七点の漢籍は、一九一二(民国元)年から一九二六(民国十五)年の間に出版されたものである。これらの近代中国書を分類してみると、詩に関する蔵書は十六点の七十六冊があり、近代書の約四分の一を占めていることが分かる。小説・物語集に関する蔵書は、十六点の一五八冊もあって、その数が『芥川龍之介文庫目録』にある近代蔵書の中で、もっとも多い。書道に関する本が十二点ある。それから以上の種類以外の本であり、全部で十三点がある。周知の事実であるが、芥川は種本を使って創作する作家であるため、芥川文学を理解するために、彼の読書経歴を明らかにすることは必要な作業である。本論文は、近代以後に出版された蔵書を対象とし、芥川の一九二一年の中国旅行と、近代に対する彼の態度を読み取りたい。

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