著者
溝渕 園子 ミゾブチ ソノコ Mizobuchi Sonoko
出版者
熊本大学
雑誌
Acculturation dans les epoques d'internationalisation / 国際化時代の異文化受容
巻号頁・発行日
pp.107-119, 2007

本稿では、この『コーカサスのとりこ』が、日露戦争期の日本において、どのような作品として翻訳されたのかを検証する。その目的は、従来のトルストイ受容史ですでに明らかにされている平和主義者トルストイ像の系譜とは異なる一面に光をあてることである。 まず、明治期の日本におけるトルストイ受容経路の概要を、先行研究に照らして確認する、そうしたトルストイ受容史をふまえた上で、『コーカサスのとりこ』が初期翻訳においてどのように捉えられていたのかを、媒体となった掲載誌の特徴を通して把握する。次に、初期翻訳を原文と対比させ、相違点を指摘することにより、『コーカサスのとりこ』が明治期の翻訳当初、どのような文脈におかれていたのかを論じる。最後に、これらの考察を通して、戦争との関わりからトルストイ受容史のさらなる一面の可能性を確認したい。

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@fuji762 ちょうど読んでた。 戦争が描く『コーカサスのとりこ』 : 日露戦争期の日本におけるトルストイ受容の一面 https://t.co/jcYqli4k0k

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