著者
三澤 純 ミサワ ジュン Misawa Jun
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.147-164, 2004-03-20

本稿において、筆者は、「安場男爵家文書」(熊本大学附属図書館寄託「永青文庫細川家文書」)と題された写本から、安場保和宛元田永孚書翰四点、下津休也宛元田永孚書翰一点、元田永孚意見書一点、合計六点の史料紹介を行った。これらの史料は、全て未発表のものであり、特に元田と安場とが日本近代史上に果たした巨大な足跡からして、大きな研究価値を有していると考えられる。本稿作成過程における厳密な年代比定の結果、下津宛書翰が一八八〇(明治十三)年である以外、全ての史料が一八七四(明治七)年に書かれたものであることが判明したが、この年は、佐賀の乱、台湾出兵等の大事件が起こっている年である。今回、紹介した書翰からは、これらの事件に対して、元田と安場とが、二人の郷里・熊本の政治情勢に大きな関心を持ちつつ、自らが属するいわゆる実学連の今後の動きを模索していることを読みとることができて興味深い。紙数の都合上、最小限の書誌的知見を整理したほかは、解題の類を一切省略したが、これについては今後の課題とする。

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