著者
植松 晃 子 橋本 和 幸 小室 安 宏 Uematsu Akiko Hashimoto Kazuyuki Komuro Yasuhiro
出版者
ルーテル学院大学
雑誌
ルーテル学院研究紀要 : テオロギア・ディアコニア = Bulletin of the Japan Lutheran College and Theological Seminary : theologia - Diakonia (ISSN:18809855)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-11, 2014-03-01

本研究では,大学の学生相談室活動をどのように広げていくべきかを検討するために,アメリカの大学生を対象に作成された「専門家による心理的援助を求める態度尺度(Attitude toward seeking professional psychological help: ATSPPH-S)(Fisher &Farina, 1995)」の翻訳版について,信頼性・妥当性を検討した。調査対象者は日本の大学生699 名である。はじめに尺度の構造的な妥当性を検討し,翻訳版は2 因子構造であることが明らかになったが,先行研究とは異なり両因子には負の相関が見られた。因子構造における解釈上の妥当性を検討し,それぞれ「専門的援助の求め」と「自己解決志向」と名付けた。さらに,精神的健康,心理的援助への偏見,学生相談室への関心との相関から構成概念妥当性を検討したところ,一定の妥当性が確認できた。
著者
張 英信
出版者
ルーテル学院大学
雑誌
ルーテル学院研究紀要 : テオロギア・ディアコニア = Bulletin of the Japan Lutheran College and Theological Seminary : theologia - Diakonia (ISSN:18809855)
巻号頁・発行日
no.47, pp.67-88, 2014-03-01

本研究では,韓国の女性家族介護者が感じている肯定的介護認識の構造を明らかにし,「肯定的介護認識仮説モデル」に基づき同居家族療養制度の利用と非利用による相違を分析した。 質的帰納的研究の結果,家族介護者は【要介護者の受け入れ】の環境に取り組み【介護スキルの向上】を図り,【自己価値の向上】になり【他者への貢献可能性】に至るという経験を通して介護肯定感を得ていた。量的研究で開発した16 項目からなる肯定的介護認識尺度は,確証的因子分析によって4 因子構造となった。そして,「肯定的介護認識仮説モデル」の検証のため,嫁のデータに限定し,共分散構造分析モデルを多母集団で同時分析した結果,同居家族療養制度の利用の有無に関わらず,扶養意識が肯定的介護認識に強く関係し,介護が単に負担感のみを与えるものではなく,家族介護者にとって何からの価値を持っているということが確認された。