著者
島田 博匡
出版者
三重県科学技術振興センター林業研究部
雑誌
三重県科学技術振興センター林業研究部研究報告 (ISSN:13480510)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-12, 2006-03
被引用文献数
1

強度間伐後の人工林への高木性広葉樹の侵入や成長,それらに影響を与える要因を明らかにする目的で,46~50年生ヒノキ人工林において本数率50%程度の間伐を行う間伐区と行わない無間伐区をそれぞれ2箇所ずつ設け,間伐前,間伐後2年間に林床に出現する木本種の生残,成長を調査した。間伐後に間伐区での木本種本数は大幅に増加したが,針広混交化を考える上で重要な高木性広葉樹の本数はごくわずかであった。間伐2年後になって新たに出現した実生も多数みられたが,前年までに出現した実生の消失も多いために木本種本数は1年目とほとんど変わらず,樹高成長もごくわずかであった。これら要因として種子供給や林床の光環境,土壌状態などが更新,定着に十分ではなかったことが考えられた。シカの影響については調査期間中に新たに出現した個体に対する食害率は高くないため,現段階では踏みつけに起因する土壌攪乱により更新促進と実生死亡の両方に影響している可能性があると考えられた。
著者
並木 勝義 山吉 栄作 川北 泰旦
出版者
三重県科学技術振興センター林業研究部
雑誌
三重県科学技術振興センター林業研究部研究報告 (ISSN:13480510)
巻号頁・発行日
no.15, pp.29-35, 2003-03

間伐材を使用した鋼材と木材の複合構造材を作製し,鋼材の欠点である振動が,木材と複合することにより減衰することを確認するため,インパルスハンマー法による振動特性試験を実施した。複合構造材の構造はH形鋼を芯材とし,その周囲に木材を接着剤により被覆し,その端部にH形鋼のみかあなる所定の長さの継ぎ手部を設けて構成した(写真-1)。接着剤はエポキシ樹脂,ポリウレタン樹脂を使用した。被覆に使用した木材はスギCryptomeria japonica・テーダマツPinus taedaを使用した。試験の結果は,(1)固有振動数が低下する傾向を示した。(2)一次振動モードでは減衰比は低いが,二次振動モード以上の高次では減衰比が高くなった。(3)単位振動荷重に対する応答値が低下した。これらのことから低い周波数の振動については減衰性が劣るが,高い周波数では減衰性が高くなり,振動を吸収する効果が高くなることが判明した。