著者
大橋 敦夫
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.32, pp.117-127, 2009

中国で出版されている日本語教科書(日本文学鑑賞用)と、日本の高校国語教科書(国語総合)の教材を比較した。その結果、日本の教科書では、近代の著名な作家の作品があまり収録されていないのに対し、中国の日本語教科書では、日本の文学史に忠実な教材選択をしていることがわかった。 (在対中国出版的日本語教科書(日本文学鑑賞用)以及日本高中国語教科書(国語総合)的内容進行比較後発現:日本的教科書中很少収録近代著名作家的作品、而中国的日本語教科書則選択忠実日本文学史的教材。)
著者
松田 幸子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.27, pp.1-9, 2004

ニーチェの『反時代的考察』に収められている「教育者としてのショーペンハウアー」は、ニーチェが生きていた時代とその時代の思想家たちへ向けての批判であり、この批判を通しての文化論である。またニーチェは天才ショーペンハウアーが如何に青年たちの教育者としてふさわしいかを述べるとともに、当時の学者たちにはその資格がないということを明確にしている。青年たちの教育者にふさわしい者は、自らの存在をもってより高い、より力強い生き方を示し、おおいなる力と価値を持った天才でなけらばならいとニーチェは主張している。
著者
北村 恵子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.31, pp.123-135, 2008

保育現場で行われているうた(手)あそびは、各種のうたやリズムに乗って言葉と身体の各部の動きが連動し、子どもたちを楽しいあそびの世界に誘う児童文化財として機能している。今論文は、うた(手)あそびを学ぶ際に使用する市販の保育教材の問題点と学生の選択眼養成について、童謡「どんぐりころころ」を素材にし、学生の音楽的能力(読譜力・歌唱力・創造力・記譜力・コミュニケーション力)などを育成しようとする試みを述べたものである。

1 0 0 0 IR 老年の価値

著者
松田 幸子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.33, pp.95-104, 2010

ヘルマン・ヘッセの青春時代は、詩人になるか、さもなければ何ものにもなりたくないという彼の希望と周囲の人の無理解との闘いであった。第一次世界大戦中は、自分の反戦思想と社会との闘いであった。そのような時代を経て彼はようやくおだやかな老年を迎えることができたのである。それは人生の大事な事柄以外は、ユーモアの精神をもって生きることであるということであった。シモーヌ・ド・ボーヴォワールは生命力に満ちあふれ、人生を力強く生きた女性であったが、彼女に苦悩が現れはじめたのは、アルジェリア戦争(フランスの植民地であったアルジェリアは1962年に独立したが、そのために起こした戦争)の状況と、自分が老年になったという現実であった。彼女にとって老いは自然が与える不当な暴行のようなものであるが、人は他の人と関わりを持ち、社会的に生きることによって老年になっても生きる意味があると彼女は言うのである。ヘッセは個人的な老いの価値を考え、ボーヴォワールは人間の老いの問題を社会的に考えている。

1 0 0 0 IR 老年の価値

著者
松田 幸子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.33, pp.95-104, 2010

ヘルマン・ヘッセの青春時代は、詩人になるか、さもなければ何ものにもなりたくないという彼の希望と周囲の人の無理解との闘いであった。第一次世界大戦中は、自分の反戦思想と社会との闘いであった。そのような時代を経て彼はようやくおだやかな老年を迎えることができたのである。それは人生の大事な事柄以外は、ユーモアの精神をもって生きることであるということであった。シモーヌ・ド・ボーヴォワールは生命力に満ちあふれ、人生を力強く生きた女性であったが、彼女に苦悩が現れはじめたのは、アルジェリア戦争(フランスの植民地であったアルジェリアは1962年に独立したが、そのために起こした戦争)の状況と、自分が老年になったという現実であった。彼女にとって老いは自然が与える不当な暴行のようなものであるが、人は他の人と関わりを持ち、社会的に生きることによって老年になっても生きる意味があると彼女は言うのである。ヘッセは個人的な老いの価値を考え、ボーヴォワールは人間の老いの問題を社会的に考えている。
著者
西山 秀人
出版者
上田女子短期大学
雑誌
上田女子短期大学紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
no.34, pp.15-28, 2011

紀貫之の和歌には、諸先学が指摘するように『万葉集』の影響が色濃く認められる。その傾向は『土佐日記』所載の和歌についても同断であるといえるが、『古今集』入集歌や『貫之集』所載歌に比して具体的な考察が立ち遅れているようである。本稿は『土佐日記』歌について万葉歌との表現的関連を検証することで、本作品における万葉歌摂取の具体相をより明らかにしようとしたものである。