著者
韓 立友 河合 淳子 森 眞理子
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-37, 2014-02

中国、韓国、台湾の8 大学及び関係機関を対象に実施した1)大学院入試制度検討、2)入試問題検討、3)アンケート及び聞取り調査の結果に基づき、a)これまであまり公表されていない中国、韓国、台湾の大学院入試制度と実例を紹介し、b)留学生の出身地と日本双方の大学院教育、大学院入試における国際的な連携方法を検討した。本稿の成果としては、第一に中国の修士課程全国統一試験のように、日本の大学院への留学生受入れに際し参考資料になりうる試験が行われていることを指摘し、利用の方法を検討したことが挙げられる。第二には調査対象となった各国・地域において、大学院入試制度や大学院教育についての歴史及び考え方には共通点及び相違点があることを、実例をもって示したことである。そして国際的な連携教育にあたっては、それぞれの社会的文脈における大学院入試制度や大学院教育の位置づけをより一層詳しく理解する必要性を指摘した。
著者
渡部 由紀
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.95-103, 2011-02

大学間の国際交流、協力を促進するイニシアティブとして、また大学の国際化の施策として、国際共同 学位プログラムの導入が世界的に進んでいる。その一方で、その名称や定義が共有されておらず、プログ ラムの質保証が課題となっている。本稿では、国際共同学位プログラムに関する文献を用い、その類型と 定義、そして日本の大学でプログラムを開発する課題を検討する。Knight(2008)が提案した国際共同学 位プログラムの類型と定義は、学修成果―学位の数と学位レベルの組合せ―を明確にすることにより、プ ログラムの質保証に言及したものであり、現在の混然とした国際共同学位プログラムのあり方に一指標を 提示した。しかし、既存の制度と法律の範囲内で国際共同学位プログラムの開発を目指すわが国は、学修 成果を基準にそのプログラムを類型化することが難しい。グローバル化する高等教育市場において、国際 教育連携の先進的な活動を支援する対応が望まれる。
著者
渡部 由紀
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.113-123, 2012-02

世界大学ランキングが始まって、間もなく10 年が経過する。ランキングは技術的な問題点を指摘されながらも、大学の「質」を評価する一資料として広く利用されるようになり、その存在感を増している。しかし、既存のランキングが知識基盤社会を支える多様な高等教育システムの発展に与える影響を懸念し、新たなランキング・ツールの開発も始まっている。本稿では、文献調査を用い、5つに類型化されたランキングの特徴を検証し、近年の世界大学ランキングの動向と課題を分析する。ランキングは、大学のエクセレンスを一元的な基準で包括的に評価するリーグテーブルから、大学のパフォーマンスを多面的な視点で捉え、大学の多様性に応じた比較へと変化してきている。しかし、世界の多様な高等教育システムを多面的に比較できるデータの不足が大きな課題となっている。高等教育市場のグローバル化が進む中、日本の大学や政府は、日本の大学のパフォーマンスの国際的な発信力が問われている。
著者
Mori Junichi
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.63-71, 2011-02

In 2009, the Japanese government, led by the Liberal Democratic Party of Japan, launched the Project for Establishing Core Universities for Internationalization (Global 30, G30). The project aims to enhance the internationalization of Japanese universities. Thirteen institutions were designated as pilot universities for the project. Last year, when the governing party changed to the Democratic Party of Japan, the budget for the project was reduced. Despite the budget cut, the thirteen universities seem determined to achieve their original goals. The new government also publicized its “21 national strategic projects for the revitalization of Japan for the 21st century,” which includes the G30 Project. This paper reviews the international context of G30, and shows that, from an international perspective, it is not an isolated initiative, and that it is vital for the Japanese government and the selected universities to continue their efforts towards internationalization. It also analyses the possible impacts that G30 may have on the future strategies of Japanese universities.