著者
中川 純子
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.49, pp.63-71, 2020-08-31

大学で相談されるハラスメントは多様になっている。本論ではハラスメントの定義の拡大の経緯, 法整備, 最近の報道例を述べて, 多様化の様相を明らかにするとともに, ハラスメント相談が個別に大学への対応を求めることのできる方法であることから, 多様な問題がハラスメント化するという視点を示した。多様化を究極させれば個別化になるが, 個別事情を抱えたハラスメントへの対応は, 当事者が現在までに所属してきたさまざまな社会における受傷の記憶への対応でもあり, 心理の専門家が寄与しうる部分でもあることを述べた。
著者
和田 竜太
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = Archives of student support in Kyoto University General Student Support Center
巻号頁・発行日
vol.49, pp.73-83, 2020

2019年末に「原因不明の肺炎」として中国・武漢で初めて報告された新型コロナウイルス(COVID–19)は, またたく間に世界中に拡散し, 深刻な事態となっている。日本においても2020年3月中旬-下旬から急激に感染者が増大し, 4月7日に7都道府県に出された緊急事態宣言は4月16日に全国に拡大され, 「不要不急」の外出自粛が要請される事態となっている。本稿では, 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内外の動きや, 本学やカウンセリングルームの対応を振り返りながら, 一学生相談カウンセラーである筆者から見たその動向について述べた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う様々な事柄は誰しもが体験したことのないものであり, あらゆるところでその状況に翻弄されながら手探りでの対応を模索していることであろう。本稿での振り返りが今起こっている事態についての後の検証の素材の一つにでもなればと思う。
著者
中川 純子 杉原 保史
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.48, pp.19-32, 2019-08-31

現在, 情報通信技術を活用したさまざまな形態の遠隔の心理支援があらたに登場し, この社会に普及しつつある。本学の学生総合支援センターでは, 2017年度より外部業者への委託事業によるオンラインカウンセリングを導入した。本小論においてはその2年間の運用の概要を報告し, 学生相談におけるオンラインカウンセリングの可能性と今後の課題を考察する。
著者
松尾 寛子
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = ARCHIVES OF STUDENT SUPPORT IN KYOTO UNIVERSITY GENERAL STUDENT SUPPORT CENTER
巻号頁・発行日
no.49, pp.25-35, 2020-08-31

大学生および大学院生の就職活動における労働条件に関する相談の傾向を把握することを目的とする。2017年7月から2020年3月の間に実施された3473件の就職相談をテキストマイニングし, 労働条件に関連する単語の出現数について回帰分析を行った。分析の結果, 労働条件関連語の出現は時間とともに増加していないこと, 労働条件関連語のうち, 勤務地については女性がより多く話題にしていることを明らかにした。また給与, 休日, 勤務地, 待遇の言及については相談者の在籍課程の効果があることも明らかにした。