著者
松井 孝雄
出版者
中部大学
雑誌
人文学部研究論集 (ISSN:13446037)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.181-189, 2008-01

空間認知研究において,地図の記憶にもとづいて方向判断などの空間課題を遂行した場合には方向によって結果が異なるのに対し,移動経験にもとづく場合にはそのような性質はみられないとされることが多かった(Evans & Pezdek,1980; Presson & Hazelrigg,1984など)。しかし松井(2006)では,大学キャンパス内の地点を用いた方向判断課題の結果を参加者の描いた手描き地図の向きを基準に分類したところ,手描き地図での上方向と課題の基準方向が一致していると誤反応が少ない傾向があるという整列効果がみられ,移動経験による記憶でも異方性が生じることが示された。本研究では規模の異なる大学を用いて同様の実験を行ない,この現象に再現性があることを示した。