著者
牧野 芳子
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 = The Bukkyo University Graduate School review. 佛教大学学術委員会, 社会学部編集委員会 編 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
no.43, pp.17-34, 2015-03

一般に社会では何かしらの排除がみられる。なぜなら,社会が必要とする諸資源には限りがあり,その配分を平等公平に行うことは難しく,結果として配分に関するルールが作られる。しかし,そのルールは他者を排除するためのルールともなり得るからである。一方こうした排他性は共同体内部の連帯意識と結束を強化させもする。事例とした沖縄本島北部の軍用地には,国有・個人所有の土地以外にかつて「字」と呼ばれた地域が共同で維持管理してきた共有地がある。現在それらの土地は登録上「公有地」になっているが,その土地つまり軍用地に支払われる借地料すなわち軍用地料は,かつてその土地を維持管理してきたメンバーにも分収されている。本稿は沖縄本島北部でも南に位置する3 町村内の共有地に関わる資源配分ルールとその地域における住民組織のメンバーシップについて考察を試みたものである。共有地住民自治組織軍用地軍用地料共有財産
著者
山口 瑞穂
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 = The Bukkyo University Graduate School review. 佛教大学学術委員会, 社会学部編集委員会 編 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
no.42, pp.19-36, 2014-03

「キリスト教系新宗教」という従来のカテゴリーには,アメリカ由来のエホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会),韓国由来の統一教会(世界基督教統一神霊協会)など,外来の新宗教の他,キリスト教を源泉とする日本出自の宗教運動(土着的なキリスト教)も分類されている。前者の運動には,発祥国にある本部等との関係という局面があり,この特徴は「キリスト教系新宗教」という定義では説明され得ない。本部との関係性を主題化するにあたり,外国由来のキリスト教系新宗教を新たに「キリスト教系外来新宗教」として分節する。エホバの証人の事例をみると,本部との関係性が日本での展開過程全体に強く影響している運動もあることがわかる。海外の本部組織との関係性を記述する方法として,「本部志向」という視座を設定し,「キリスト教系外来新宗教」の差異や同質性を検討する方法について問題提起する。キリスト教系新宗教キリスト教系外来新宗教本部志向エホバの証人