著者
井ノ口 和子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学教育学部研究紀要 (ISSN:24334367)
巻号頁・発行日
no.2, pp.57-72, 2018-02

アール・ブリュット(art brut)はフランス語で「生(き)の芸術」を意味する言葉であり,現在では「美術教育を受けていない人の美術」,「障害者の美術」と理解されている。本研究は「武蔵野アール・ブリュット2017」における鑑賞者アンケートの回答と記述を分析・考察し,鑑賞者がアール・ブリュット作品から何を感じとるのかを明らかにすることを目的とする。その結果,鑑賞者は「自分の価値観の広がり」や「アートを身近に感じることができた」という印象をもつことがわかった。アール・ブリュット作品を鑑賞することは,従来の美術の枠組みに縛られず,自分なりの新しい価値を創造する可能性をもつものである。