著者
江島 仁子 森 圭子 安藤 布紀子
雑誌
四條畷学園大学看護ジャーナル = Nursing Journal of SHIJONAWATE GAKUEN UNIVERSITY
巻号頁・発行日
pp.61-67, 2017-09

女性の健康問題とセルフケアのあり方を学ぶ講義の中で、コンドームスキル演習を導入し、その教育効果について報告する。対象はA 女子大学文系学部に在籍し、当講義を履修していた学生132名である。コンドームスキル演習を実施した後に、学生が自由記述した感想を分析した。約半数の学生は、「実際に体験できて、いい勉強になった」「自分を守るために大切なことである」「男性任せでなく女性も知っておくべきことである」「有益な学びが出来た」など肯定的な感想を述べていた。その他、コンドーム自体に関する感想やコンドームを男性器模型に装着したことへの感想などがあった。学生はコンドームスキル演習により、コンドーム取り扱いの注意点や正しい装着の難しさから、確実な避妊について考える機会となっていた。加えて、コンドームによる避妊の主体性のあり方、性交相手となる男性に対する姿勢、自分自身を守ることへの自覚など、多くの学びを得ていた。また、少数ではあるが、性交に対する忌避感や演習への羞恥心を記した感想があった。コンドームスキル演習を取り入れた講義は、多くの学生にとって有益であったが、性交に関する事柄に対して抵抗感が強い者が存在することを考慮した講義運営が必要であると示唆された。