著者
濱田 維子 小林 益江 佐藤 珠美 江島 仁子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.10-16, 2006-12-22

ピアエデュケーションの特徴は、同世代の仲間意識の共感・支持による教育効果が高い点と、知識提供だけではなく個人の自信や自己評価を高めることを目標としている点にある。本学では、2004 年度より、大学生ピアエデュケーターの養成とともに、大学生による小学生への性教育活動を展開している。小学5 年次から6 年次にかけた2 年間の継続的な授業展開を通して、子どもたちへの質問紙や感想をもとに授業評価を行い、小学生へのピアアプローチの効果について明らかにした。その結果、(1)小学生と年齢差のある大学生とのコミュニケーションを重視した活動展開によって、両者の関係性を構築することができた。(2)複数の大学生が体験談を語るという共感的アプローチによって、授業内容の理解が促進された。(3)自己肯定感の向上を目的とした授業展開により「自分を好きだ」といえる子どもが増加した。以上のことより、小学生とのコミュニケーションを重視したプログラムと、年齢差のある対象者に対しても、関係性を重視したピアアプローチによる効果的な性教育が可能であることが示された。
著者
江島 仁子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.2, pp.27-34, 2009-03-19

本研究の目的は、切迫早産により入院中の妊婦が、入院期間を通して変化していく自分の状況と医療職者の言動を妊婦がどのように感じとらえているのか、その時々の妊婦の思いを明らかにすることである。研究方法は切迫早産と診断され入院している妊婦3名を対象に参加観察法およびインタビューによりデータ収集を行い、内容の分析を行った。その結果①正期産近くになると妊婦の不安や不満は増加していくこと②妊婦は本音を言葉や態度に隠しているが看護者が察知してくれることを期待していること③看護者の日常のケアから喜びを得ていること、と医療職者に表出しなかった想いや医療職者への望みなどが明らかになった。以上より、異常から正常への移行期にある妊婦への関わり方、妊婦の思いを尊重した上で医療やケアを提供することの重要性が示唆された。
著者
江島 仁子 森 圭子 安藤 布紀子
雑誌
四條畷学園大学看護ジャーナル = Nursing Journal of SHIJONAWATE GAKUEN UNIVERSITY
巻号頁・発行日
pp.61-67, 2017-09

女性の健康問題とセルフケアのあり方を学ぶ講義の中で、コンドームスキル演習を導入し、その教育効果について報告する。対象はA 女子大学文系学部に在籍し、当講義を履修していた学生132名である。コンドームスキル演習を実施した後に、学生が自由記述した感想を分析した。約半数の学生は、「実際に体験できて、いい勉強になった」「自分を守るために大切なことである」「男性任せでなく女性も知っておくべきことである」「有益な学びが出来た」など肯定的な感想を述べていた。その他、コンドーム自体に関する感想やコンドームを男性器模型に装着したことへの感想などがあった。学生はコンドームスキル演習により、コンドーム取り扱いの注意点や正しい装着の難しさから、確実な避妊について考える機会となっていた。加えて、コンドームによる避妊の主体性のあり方、性交相手となる男性に対する姿勢、自分自身を守ることへの自覚など、多くの学びを得ていた。また、少数ではあるが、性交に対する忌避感や演習への羞恥心を記した感想があった。コンドームスキル演習を取り入れた講義は、多くの学生にとって有益であったが、性交に関する事柄に対して抵抗感が強い者が存在することを考慮した講義運営が必要であると示唆された。
著者
松尾 和枝 本田 多美枝 江島 仁子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.7, pp.29-34, 2009

学生による授業評価に双方向性をもたせ、組織的・即時的に授業改善に活かすシステムづくりは、多くの大学で課題となっており、近年は、コンピュータの利用が注目されている。2002年から2007年の5年間を対象に、コンピュータによる授業評価システムに関する文献検討を行った。その結果、(1)授業評価システムのコンピュータ化は年々増加しているが、看護を含む保健医療分野での取り組みは報告がない、(2)システムはWeb上に作成することにより、組織的に実施することが可能となる、(3)媒体として携帯電話の利用は有用である、(4)授業評価システムは単独ではなく、多機能な学習支援システムの一部として統合できる可能性がある、(5)有用な授業評価システムにするには運用上の工夫が必要である、ことが明らかとなった。