著者
堀口 真司
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.221, no.6, pp.61-83, 2020-06

本稿では,2019年1 月に出版されたブルーノ・ラトゥールの邦訳書『社会的なものを組み直す』の中に収められた,経営学を専攻する学生とその著者ラトゥールとの間で交わされた出口の見えないやり取りを糸口として,経営学に,彼らが提唱する理論(アクターネットワーク理論)を応用するとはどういうことなのかについて考察することを目的とする。そこでは,まず,同書が書かれた背景を整理することによって,ともすれば掴みどころのない彼の視点を,より具体的な制度へと引き寄せながら明示し,その後,そうした視点から経営学を眺めることを試みる。結果として,「経営的なもの」を所与の前提として猛威を振るう経営学の「専門家」の姿が明らかとなる。
著者
清水 玄彦
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.220, no.5, pp.63-71, 2019-11

ケインズはマクロ経済学を創始し, ポパーは科学と非科学との境界設定の基準として反証可能性を提唱したことは知られている。しかし, 彼らが通常とは異なる確率概念をそれぞれ提唱したことはあまり知られていない。確率については通常, 古典的確率, 相対頻度(統計的) 確率, 主観的確率の三種類が紹介され, これらいずれの確率とも整合的である公理的確率を用いるのが一般的である。これに対してケインズは論理的確率を, ポパーは傾向的解釈を創案した。果たしてこれらの確率概念はどういう特徴を有しており, またどういう役割を果たすことができるかについて検討する。
著者
芦谷 政浩
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.221, no.4, pp.31-36, 2020-04

芦谷(2012,『国民経済雑誌』,第205巻第6 号)とAshiya(2015, Journal of Sports Economics)は荒尾競馬における裁定機会の存在を明らかにし,芦谷(2013,『国民経済雑誌』,第207巻第6 号)は佐賀競馬,芦谷(2018,『国民経済雑誌』,第217巻第4 号)は門別競馬における裁定機会の存在を明らかにした。一方,芦谷(2014,『国民経済雑誌』,第209巻第5 号)では,2012年4 月27日から7 月26日までの3 か月間に大井競馬・川崎競馬・船橋競馬・浦和競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(合計500レース)を分析し,これらのレースでは裁定取引の機会が存在しなかったことを明らかにした。本稿では,2012年4 月30日から6 月28日までの2 か月間に園田競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(出走取消・競走除外のあった13レースを除く合計292レース)と2012年7 月3 日から7 月26日までの1 か月間に姫路競馬で行われた出走頭数が12頭以下のレース(出走取消・競走除外のあった10レースを除く合計121レース)を分析し,これらのレースでは裁定取引の機会が存在しなかったことを明らかにする。