著者
納富 重雄
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
大日本窯業協会雑誌 (ISSN:18842119)
巻号頁・発行日
vol.30, no.358, pp.266-269, 1922-06-20

著者は地質調査所より相馬燒(相馬大堀燒)原料調査の為め福島縣雙葉郡大堀, 苅野, 長堀, 新山, 大野, 浪江の各町村を踏査せり, 含陶土層は片麻岩と第三紀層との境界面に沿ひて狭長な区域を領し, 片麻岩及び花崗質砂岩の風化〓爛沈積するものとし, 花崗質砂及び陶土より成り稍多量の亞炭片を含有す, 生成時代は第三紀の末葉なるべく, 當業者は花崗質砂をドウザリ, 陶土をネバツチ又は単にネバと称す, 現在は樅木曽根より採掘せるも其埋蔵量大ならず, 将来は前田川, 野上川間に豊富に埋蔵さるゝ陶土を採掘するに至るべしと結論せり
著者
萩原 清彦 森本 貫一 上田 清 平岡 泰太郎
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
大日本窯業協会雑誌 (ISSN:18842119)
巻号頁・発行日
vol.30, no.362, pp.457-488, 1922-10-20

本報告は旭硝子株式会社試驗所に於て硝子研究報告第三報として発表せるものに係り, さきに硝子研究報告第一号として発表せる鏡曇の研究の継続とし, 銀引せる硝子鏡面に生ずる「くもり」の原因に付研究せる結果, 硝子には質として高温度により滲出する物質存在する事を悟り, 此滲出物の出現により硝子に存する斑紋及鏡曇りの一因たる彼の時日の経過に伴ひ生ずる「くもり」の原因をも明にせり, 面して此の滲出作用は硝子表面に限らず気泡の如く硝子実体内に密閉されたる面に於ても尚認め得べく, 此等の滲出物は直に湯気を吸収して溶解し硝子面上に於て其表面張力に従ひ, 種々に集合して斑紋を呈する者とし, 曇及び網目を生ずる場合は施工方法の如何によらず大差なきが如きも尚洗浄法を施せるものは少なき指数を示せり, 此れ等の結果によれば銀引の際生ずる鏡面の曇は(一)銀引の際硝子面を琢磨し表面に焼付きたる粒状の物質又は網目状に集合せる物質を除くか(二)硝子面をヴヰトロスコープにて検鏡し硝子面の曇らざる部分を選択し, 或は表面琢磨の際其状態を検査し全く除去し得たるを待ちて銀引するかによりて確実に大部分を除き得べし, さりながら鏡面製作後時間経過と共に生ずる曇は所謂常温滲出物の作用にて, 此の滲出物の出現を最小限度に止むるには熔融状態を均一にし熔融温度及び凝固温度の関係を明にするを要す, 要するに著者等は本研究により鏡面の曇の原因は滲出物の採用に基するを明にせるも此滲出物の性質及び防止法は尚将来の研究に待たざるべからずとなせり, 又著者等がさきに硝子研究報告第二報に発表せる粒子に関し此の滲出物と混同せる点あり, 即ち(一)粒子は限定せられたる斜入光線に限り検鏡し得るべく, 此の時滲出物も共に現はるゝ事あれども其の分は斜入光線の角度を限定するべきものに非ざるを以て, 此点にて粒子と滲出物とを区別し得る事, (二)滲出物は琢磨により除去さるゝも粒子は琢磨硝子面に於ても認めらるゝ事, (三)滲出物の存在は硝子面を斜にし強烈なる光源に照せば肉眼にても曇として認めらるゝも粒子は此事なき事等の事実を確めたるを以て前報告を訂正せり(倉橋)