著者
中野 俊
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.31-48, 2008-03

南硫黄島は第四紀後半に形成された火山島であるが、噴火記録や噴気活動はない。追跡できる火砕物層準を基準とし、成層火山体である南硫黄島火山を下位から古期火山噴出物-1、古期火山噴出物-2、南部中期火山噴出物、北部中期火山噴出物および新期火山噴出物に区分した。いずれも陸上噴出した溶岩および火砕岩からなり、広域的に認められる有意な浸食間隙は存在しない。海食崖を貫く岩脈は254本を数えた。その大部分は放射状岩脈である。岩質は溶岩・岩脈ともにすべて玄武岩である。斑晶として斜長石、単斜輝石、かんらん石を含む。最大径1cmに達する大型の斑晶が多く、特徴的に単斜輝石を40-50%程度含む玄武岩も見つかった。