著者
前田 直己
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of Yamagata University. 山形大学農学部 編 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.365-372, 2017-02

本研究では,はじめにブロッケン現象のメカニズムについて紹介した後,日本の古典に記された「来迎」を時系列的に整理することで先人たちがこの自然現象をどのように把握していたのか明らかにすることとしたい。2016年10月時点で,Web of Scienceで、Brocken spectreを検索するとBeaton, A. et al.(1996),Houston, D(1999),Mitchell, S.(2007)の3件が選択されるのみであるが,ブロッケン現象を起こすMie散乱(Mie Scattering)(後術)に関する論文は5,000件を超える数がある。古典に記載された文章から,中世の人たちが自然現象をどのように把握していたのか明らかにしようとする研究事例はほとんどないので,本論ではこの点を明らかにすることを目的とした。