著者
中場 勝 結城 和博 佐藤 久実 佐野 智義 櫻田 博 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 後藤 元#森谷 真紀子#中場 理恵子#齋藤 信弥#齋藤 久美#小関 敏彦#工藤 晋平
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.3, pp.27-51, 2011-03

「山形100号」は,山形県立農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において,良質の「山形75号」を母に,東北農業研究センターで育成したいもち病に強い「奥羽366号」(後の「ひゅらひかり」)を父に人工交配し選抜育成した水稲品種である.奨励品種決定調査において有望と認められ,2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用された.熟期は育成地では"中生の晩"に属し,稈長は"中稈",草型は"中間"で,耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い"中"である.いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii"と推定された.葉いもち圃場抵抗性は"強",穂いもち圃場抵抗性は"極強"である。障害型耐冷型は"強",穂発芽性は"やや易"である.「はえぬき」に比べ,玄米千粒重は3g程度重く,収量性は高い.玄米品質は乳白粒などの白未熟粒が多く発生しやや劣る.胴割程度は,「ひとめぼれ」並に低く,「雪化粧」より明らかに低い.試験醸造の評価は,雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり,甘口,辛口など様々なタイプの酒に対応でき,掛米用として醸造適性に優れる.山形県における栽培適応地帯は,平坦地域から中山間地域で,普及見込み面積は500haである.
著者
結城 和博 佐藤 久実 中場 勝 櫻田 博 佐野 智義 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 中場 理恵子 横尾 信彦 森谷 真紀子 後藤 元 齋藤 信弥 齋藤 久美
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-40, 2010-03

「つや姫」(系統名:山形97号)は、1998年に山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において、次期主力品種の育成を育種目標に、「山形70号」を母に、「東北164号」を父にして人工交配を行い、選抜・育成した良食味の品種である。本品種は本県で育成された粳種では初の"晩生"に属し、短稈で草型は"中間型"、耐倒伏性は"やや強"である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pii、Pik"をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち"強"、穂いもちは発病が少なく不明である。障害型耐冷性は"中"、穂発芽性も"中"である。「コシヒカリ」に比較し、収量性が高く、玄米千粒重は並で、玄米外観品質は白未熟粒の発生が少なく、光沢があり高品質である。「コシヒカリ」に比べ精米粗タンパク質含有率は並、精米アミロース含有率はやや低く、味度及び炊飯米の白色度はやや高い。食味は、炊飯米の外観と光沢が優れ、味と粘りも優り、「はえぬき」及び「コシヒカリ」を上回る。山形県における適応地帯は平坦部で、本県のさらなる良食味米の安定生産と「米どころ山形」として本県産米全体の評価向上を目指し、2009年に山形県の水稲奨励品種に採用された。さらに、同年9月には宮城県の奨励品種に採用された。