著者
中場勝
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.29-30, 2000-12
被引用文献数
2

1999年の山形県最上地域における水稲の作柄は、統計情報事務所発表の作況指数が107の「良」となった。これは、生育期間を通し高温の気象で経過したため、出穂期が早く、しかもいもち病や障害不稔等の被害がなかった等による。一方、産米の品質は劣り、食糧事務所の検査では、1等米比率は58.1%と低かった。1等米になれなかった格付け理由は、カメムシによるとみられる部分着色粒と心白粒が多かったことである。特に当地域で作付け比率が高いあきたこまちで多かった。部分着色粒の増加は、①カメムシの発生が多かったこと、②水稲の出穂が早かったことによるものと考えられるが、さらに割れ籾の発生が多くみられることから、これを助長したものと推察された。そこで、あきたこまちの割れ籾と部分着色粒の発生実態について、調査したので報告する。
著者
結城 和博 佐藤 久実 中場 勝 櫻田 博 佐野 智義 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 中場 理恵子 横尾 信彦 森谷 真紀子 後藤 元 齋藤 信弥 齋藤 久美
出版者
山形県農業総合研究センター
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-40, 2010 (Released:2011-05-27)

「つや姫」(系統名:山形97号)は、1998年に山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において、次期主力品種の育成を育種目標に、「山形70号」を母に、「東北164号」を父にして人工交配を行い、選抜・育成した良食味の品種である。本品種は本県で育成された粳種では初の“晩生”に属し、短稈で草型は“中間型”、耐倒伏性は“やや強”である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii、Pik”をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち“強”、穂いもちは発病が少なく不明である。障害型耐冷性は“中”、穂発芽性も“中”である。「コシヒカリ」に比較し、収量性が高く、玄米千粒重は並で、玄米外観品質は白未熟粒の発生が少なく、光沢があり高品質である。「コシヒカリ」に比べ精米粗タンパク質含有率は並、精米アミロース含有率はやや低く、味度及び炊飯米の白色度はやや高い。食味は、炊飯米の外観と光沢が優れ、味と粘りも優り、「はえぬき」及び「コシヒカリ」を上回る。山形県における適応地帯は平坦部で、本県のさらなる良食味米の安定生産と「米どころ山形」として本県産米全体の評価向上を目指し、2009年に山形県の水稲奨励品種に採用された。さらに、同年9月には宮城県の奨励品種に採用された。
著者
中場 勝 結城 和博 佐藤 久実 佐野 智義 櫻田 博 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 後藤 元#森谷 真紀子#中場 理恵子#齋藤 信弥#齋藤 久美#小関 敏彦#工藤 晋平
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.3, pp.27-51, 2011-03

「山形100号」は,山形県立農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において,良質の「山形75号」を母に,東北農業研究センターで育成したいもち病に強い「奥羽366号」(後の「ひゅらひかり」)を父に人工交配し選抜育成した水稲品種である.奨励品種決定調査において有望と認められ,2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用された.熟期は育成地では"中生の晩"に属し,稈長は"中稈",草型は"中間"で,耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い"中"である.いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii"と推定された.葉いもち圃場抵抗性は"強",穂いもち圃場抵抗性は"極強"である。障害型耐冷型は"強",穂発芽性は"やや易"である.「はえぬき」に比べ,玄米千粒重は3g程度重く,収量性は高い.玄米品質は乳白粒などの白未熟粒が多く発生しやや劣る.胴割程度は,「ひとめぼれ」並に低く,「雪化粧」より明らかに低い.試験醸造の評価は,雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり,甘口,辛口など様々なタイプの酒に対応でき,掛米用として醸造適性に優れる.山形県における栽培適応地帯は,平坦地域から中山間地域で,普及見込み面積は500haである.
著者
結城 和博 佐藤 久実 中場 勝 櫻田 博 佐野 智義 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 中場 理恵子 横尾 信彦 森谷 真紀子 後藤 元 齋藤 信弥 齋藤 久美
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-40, 2010-03

「つや姫」(系統名:山形97号)は、1998年に山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において、次期主力品種の育成を育種目標に、「山形70号」を母に、「東北164号」を父にして人工交配を行い、選抜・育成した良食味の品種である。本品種は本県で育成された粳種では初の"晩生"に属し、短稈で草型は"中間型"、耐倒伏性は"やや強"である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pii、Pik"をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち"強"、穂いもちは発病が少なく不明である。障害型耐冷性は"中"、穂発芽性も"中"である。「コシヒカリ」に比較し、収量性が高く、玄米千粒重は並で、玄米外観品質は白未熟粒の発生が少なく、光沢があり高品質である。「コシヒカリ」に比べ精米粗タンパク質含有率は並、精米アミロース含有率はやや低く、味度及び炊飯米の白色度はやや高い。食味は、炊飯米の外観と光沢が優れ、味と粘りも優り、「はえぬき」及び「コシヒカリ」を上回る。山形県における適応地帯は平坦部で、本県のさらなる良食味米の安定生産と「米どころ山形」として本県産米全体の評価向上を目指し、2009年に山形県の水稲奨励品種に採用された。さらに、同年9月には宮城県の奨励品種に採用された。