著者
中村 かおり
出版者
拓殖大学日本語教育研究所
雑誌
拓殖大学日本語教育研究 (ISSN:24239224)
巻号頁・発行日
no.4, pp.31-54, 2019-03

非漢字圏学習者にとって,漢字の習得は大きな壁となっている。特に,字形認識の複雑さ,数が多いための記憶の難しさ,それらの負担による学習意欲の低下などが課題として挙げられる。本研究では,それらの課題に対し,学習者の負担を軽減し,達成感を与え,学習習慣を形成するために,⑴字形認識を促すための基本要素の単純化,⑵語彙先習学習および学習段階に合わせた漢字ストラテジーの提示,⑶自律的学習の促進を目指した個別学習課題による実践を行った。その結果,語彙先習による漢字学習の効果が確認でき,かつ自律的学習による取り組みが学習意欲の向上につながることが示唆された。