- 著者
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伊藤 江美
中村 かおり
- 出版者
- 拓殖大学日本語教育研究所
- 雑誌
- 拓殖大学日本語教育研究 = Journal of research in teaching Japanese language (ISSN:24239224)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.211-233, 2021-03-25
拓殖大学別科日本語教育課程の入門漢字クラスでは,非漢字圏学習者の心理的,時間的な負担を軽減することを目指し,Kanji in 6 & 4,語彙先習,漢字クイズマラソンによる段階的な漢字語彙学習に取り組んでいる。Kanji in 6 & 4は拓殖大学大学院に在学中だったイマーン・タハ氏が考案した字形学習法で,字形の点画をコード化して示した上で,字形の構造を階層的に分解,分類し,字形を認識する。筆者らはKanji in 6 & 4の第一段階の点画のコード化をKコードと呼び,Kコードによる漢字字形学習の実践を行っている。本稿では,Kコードによる漢字字形学習の実践例から,Kコードが共通言語の機能を持ち,学習の効率化に役立っていることを述べた。そして,当クラスの学習項目全体を改訂版タキソノミーによって分析し学習目標分類表を作成することによって,学習行動の認知次元過程の各段階におけるKコードの有用性を示した。以上のような実践と分析を通して,漢字の字形学習におけるKコードの共通言語機能と実用性について考察した。