著者
松田 千登勢 山地 佳代 佐藤 淑子 小川 宣子 田中 真佐恵 吉井 輝子
雑誌
摂南大学看護学研究 = Setsunan University Nursing Research (ISSN:2187624X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-9, 2020-03-31

特別養護老人ホーム(以下、特養)の看護師を対象とした感染管理教育プログラムを実施し、検討することを目的とした。教育プログラムの内容は1回の講義と4回のグループワーク研修(以下、GW)で構成した。講義を受講した37名の看護師のうち5名がGWに参加し、自施設における感染管理の課題と改善に向けた取り組みを考案し、実践した。参加者へのアンケートとGWを通して抽出した感染管理の課題とその取り組みの記録から、教育プログラムを検討した。その結果、講義に対してほとんどの参加者が日程や場所の設定はよいと答え、内容はわかりやすいと答えていた。GW研修参加者が挙げた施設の感染管理の課題は、「感染対策委員会が単独でない」、「スタッフの手洗いなどの徹底ができていない」、「排泄援助における感染管理が十分でない」などであった。改善に向けた取り組みには、手洗いを確認するための機器を借りてチェックするなど、他施設の取り組みを参考にした具体的な対応がみられた。教育プログラムでは、GWを通して参加者が自施設の状況を語る中で新たな課題を見出し、取り組みに対して他の参加者や感染看護の研究者から根拠に基づくアドバイスをもらうことで対応の方向性を見出すことができたと考える。
著者
森谷 利香 池田 七衣
雑誌
摂南大学看護学研究 = Setsunan University Nursing Research
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.22-30, 2014-03

本研究は多発性硬化症(Multiple Sclerosis;MS)病者の漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation; PMR)による疲労への影響及び、実施上の課題を考察することが目的である。4事例を対象に2週間継続してPMRを行った。PMRは16筋群を対象とし、30分のCDで行うものである。1日目、7日目、14日目に研究者が訪問し、共に実施の後、評価を行った。それ以外は、対象者が一人で実施した。結果、全員が安全かつ適切に実施できた。そして2人の主観的疲労が低下し、日誌においても疲労が軽減したという記載があった。また2人の活力が上昇し、活動量が増加したという記載があり、疲労の改善による影響と推察された。同時に不眠や痛みが改善したとの記述があった。つまり、MSの二次的疲労の原因と考えられている不眠やストレスへの介入としてPMRが有用である可能性がある。一方で身体的QOLが標準を下回る対象者が2人いた。PMRに伴う知覚異常や身体へのネガティヴな認知との関連についての検討が必要である。