著者
松田 千登勢 長畑 多代 上野 昌江 郷良 淳子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-91, 2006-03-01

本研究の目的は認知症高齢者をケアする上で,看護師がどのような感情を抱きながら関わっているのかを明らかにし,サポートの視点を見出すことである。介護老人保健施設,老人認知症専門病棟,特別養護老人ホームで重度の認知症高齢者をケアする看護師9名を対象に,研究の同意を得た上で,半構成質問紙を用いた面接調査を行った。その結果看護師の感情として,1)「なんでそんなことするの」という怒り,2)認知症高齢者の言動への困惑,3)言動に対する対応への困惑,4)身体症状の判断への自信のなさ,5)自分のケアを評価できない不安,6)自分の思うケアができないジレンマ,7)責任の重さへの不安,8)ケアへの達成感のなさの8つが明らかになった。
著者
松田 千登勢 山地 佳代 佐藤 淑子 小川 宣子 田中 真佐恵 吉井 輝子
雑誌
摂南大学看護学研究 = Setsunan University Nursing Research (ISSN:2187624X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-9, 2020-03-31

特別養護老人ホーム(以下、特養)の看護師を対象とした感染管理教育プログラムを実施し、検討することを目的とした。教育プログラムの内容は1回の講義と4回のグループワーク研修(以下、GW)で構成した。講義を受講した37名の看護師のうち5名がGWに参加し、自施設における感染管理の課題と改善に向けた取り組みを考案し、実践した。参加者へのアンケートとGWを通して抽出した感染管理の課題とその取り組みの記録から、教育プログラムを検討した。その結果、講義に対してほとんどの参加者が日程や場所の設定はよいと答え、内容はわかりやすいと答えていた。GW研修参加者が挙げた施設の感染管理の課題は、「感染対策委員会が単独でない」、「スタッフの手洗いなどの徹底ができていない」、「排泄援助における感染管理が十分でない」などであった。改善に向けた取り組みには、手洗いを確認するための機器を借りてチェックするなど、他施設の取り組みを参考にした具体的な対応がみられた。教育プログラムでは、GWを通して参加者が自施設の状況を語る中で新たな課題を見出し、取り組みに対して他の参加者や感染看護の研究者から根拠に基づくアドバイスをもらうことで対応の方向性を見出すことができたと考える。