著者
夏 雨
出版者
日中言語文化教育推進会
雑誌
日中言語文化 (ISSN:2435273X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51-64, 2022-09-01 (Released:2023-03-26)
参考文献数
16

羅教は明代成化年間に創立された民間宗教であり、明清時代の民間宗教に画期的な影響を与えた。創立者の羅祖 は、謎に包まれ、未だに明らかにされていない部分が多い。歴史上に実在した羅祖とは別に、羅祖に関する伝説は多くの地域に広まった。そのうち、羅教の信者が創作した羅教の起源に関する神話もある。中でも、「羅祖退番兵(羅祖が番兵を退けた)」という伝説は広く知られている。実際、この伝説は羅教の信者が文学作品から影響を受け、戯曲や小説から素材を取り入れて創作したものである。その創作過程を明らかにすることで、羅教の信者自身がどのように歴史を構築し、どのような意識を持っていたかを垣間見ることができる。そこで、本論では「羅祖退番兵」という伝説の形成過程を分析し、それが創作された源流を探り、ひいては、信者の羅教に対する意識を明らかにしたい。
著者
楊 華 汪 霞琴
出版者
日中言語文化教育推進会
雑誌
日中言語文化 (ISSN:2435273X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-6, 2021 (Released:2021-12-29)
参考文献数
14

要旨 新世紀以来、司馬遼太郎及びその文学作品に関する研究は多様化してきたが、これまで司馬の日露戦争認識に対する検討は数少ない論文だけにかぎり、まだ深く研究されていない。長篇小説『坂の上の雲』では、司馬が秋山好古、秋山真之兄弟、正岡子規などの主人公の生い立ちを通して、明治時代の日清戦争、日露戦争を述べている。小説の中で、日露戦争がロシアの脅威による「国民戦争」と「祖国防衛戦」であると司馬は主張している。史実に基づく分析により、その戦争認識は極めて間違っていることが分かり、批判すべきである。また、司馬遼太郎の日露戦争観の形成原因について、本稿では司馬が受けた『教育勅語』の影響、本人の軍人体験、明治時代への憧れなどから探し求める。
著者
呉 丹
出版者
Association for the Advancement of Education in Japanese-Chinese Language and Culture
雑誌
日中言語文化 (ISSN:2435273X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25, 2020 (Released:2021-06-30)
参考文献数
17

1894 年、 日清戦争が始まった。日本は初めての対外戦争に挙国一致で臨み、勝利を収めた。国木田独歩は『国民新聞』の特派員として従軍し、『愛弟通信』という従軍記を残した。その中で、国木田独歩は戦死者を見つめ、「戦」は人間を破壊し尽くす「魔物」だという事実を認めた。この視座を獲得した従軍記者は日清戦争を通じて国木田独歩くらいのものだ。この点からすると『愛弟通信』は評価されるべき作品だ。しかし、この従軍記は当時昂揚した国家が個人を優越するナショナリズムから決して自由ではなかった。日本国民とキリスト教徒との立場から、日清戦争を「文明の義戦」として受け入れ、隣国侮蔑の忠君愛国主義から逃れることはできていなかった。
著者
楊 華 汪 霞琴
出版者
日中言語文化教育推進会
雑誌
日中言語文化 (ISSN:2435273X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-6, 2021

要旨 新世紀以来、司馬遼太郎及びその文学作品に関する研究は多様化してきたが、これまで司馬の日露戦争認識に対する検討は数少ない論文だけにかぎり、まだ深く研究されていない。長篇小説『坂の上の雲』では、司馬が秋山好古、秋山真之兄弟、正岡子規などの主人公の生い立ちを通して、明治時代の日清戦争、日露戦争を述べている。小説の中で、日露戦争がロシアの脅威による「国民戦争」と「祖国防衛戦」であると司馬は主張している。史実に基づく分析により、その戦争認識は極めて間違っていることが分かり、批判すべきである。また、司馬遼太郎の日露戦争観の形成原因について、本稿では司馬が受けた『教育勅語』の影響、本人の軍人体験、明治時代への憧れなどから探し求める。