著者
韓 慶民
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.364-372, 2005-08-01
被引用文献数
2

地球規模の炭素循環過程における森林が果たす役割の評価においてリモートセンシング技術の活用が期待されている。近年,高分解能の超多波長連続分光計が開発されたことが契機となり,環境要因の変化に対する光合成活性を植生の分光反射特性によって捉えることで,光合成生産プロセスがマルチスケールで推定できるようになってきた。本稿では,植生分光反射特性に関連するキサントフィルサイクルや水-水サイクルなどの光合成防御機能について概説するとともに,正規化植生指数,植物水分状態指数および光化学反射指数を紹介し,その生理生態学的意義を検討した。また,これら分光反射指数を用いて,個葉からランドスケープスケールに至る光合成生産の時空間変化の推定について考察した。