- 著者
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今元 泰
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.S055, 2007 (Released:2007-12-13)
紅色光合成細菌の光センサー蛋白質であるPhotoactive yellow protein(PYP)は、代表的なPASドメイン蛋白質である。PYPは125アミノ酸残基からなる小さな水溶性蛋白質であるため、PASドメインが単独で存在し、機能していると考えられている。また、高分解能で高次構造が解明されているため、特に反応メカニズムを詳細に解明するためのモデル蛋白質として注目されている。PYPの発色団は、システイン残基にチオエステル結合したp-クマル酸(4-ヒドロキシケイ皮酸)で、吸収極大波長は446nmにある。暗状態での発色団は脱プロトン化したトランス型であるが、光を吸収するとシス型に異性化する。その後、吸収スペクトルの異なる反応中間体(L、M、M')を経てもとの暗状態に戻るという光反応サイクルを持っている。この過程で、発色団が静電的に中性となり、蛋白質部分に大きな構造変化を起こして紫外部に吸収極大が移動した中間体であるM'が、活性中間体であると考えられている。最近の研究から、これらの構造変化は、発色団を中心とした水素結合ネットワークの変化や、CH/π、CH/Oのような「弱い」相互作用の変化によって起こることがわかってきた。シンポジウムでは、PYPの光反応にサイクルに関する最近の知見を紹介し、LOVドメイン光受容蛋白質との類似点について議論したい。