著者
高梨 秀樹 有村 慎一 堤 伸浩
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.749, 2007 (Released:2007-12-13)

高等植物のミトコンドリアゲノムはサイズが大きく、またその内部の多数のリピート配列間での組み換えによって、様々なサイズの環状構造DNA分子が生じると考えられている。しかしこれらのDNA分子種の構造については、環状構造の他に線状、分枝状といった多様な様式で存在しているという報告もある。また塩基配列決定から予想される分子種が本当に実在するのかどうか、どのような分子種がどのような比で存在するのかなどはいまだ詳細が不明であり、高等植物ミトコンドリアゲノムの真の構造は明らかになっていないといえる。 本研究では、シロイヌナズナミトコンドリアゲノムを構成するDNA分子種の構造・サイズに焦点を当て解析を行った。シロイヌナズナ植物体からPercoll密度勾配遠心法を用いてミトコンドリアを精製し、スライドガラス上でミトコンドリアを破裂させ内部に含まれるDNAを展開させた後、YOYO-1によってDNAを染色した。サイズ既知の複数のBACクローンを同様にYOYO-1で染色しkbp-μm間の検量線を作成し、これを用いておおよそのミトコンドリアDNAのサイズ(kbp)を推定した。その結果、シロイヌナズナミトコンドリアゲノム中には様々なサイズの環状・線状DNAが観察され、興味深いことにシロイヌナズナミトコンドリアゲノム(367kbp)の二倍近いサイズの環状DNAも存在することがわかった。
著者
高梨 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

イネ花粉管誘引物質を同定するためには, 遺伝子発現情報をもとに候補遺伝子の選抜を行う必要がある. そこでまず, 申請者らがこれまでに得たマイクロアレイ・RNA-seq解析によるイネ助細胞の遺伝子発現プロファイル (Ohnishi and Takanashi et al. 2011) の結果から, 助細胞で高発現し, かつ分泌性タンパク質をコードする複数の遺伝子を候補として多数選抜した.選抜した候補遺伝子についてはノックアウト株が存在しなかったため, それが花粉管誘引物質をコードしているか否かを判別するためには遺伝子ノックダウンによる機能解析が必須である. 本研究ではpANDAベクター (Miki et al. 2005) を用いてRNAiによる遺伝子ノックダウン系統の作出を計画している. 将来的にRNAiが機能している胚嚢をGUS染色により判別する必要があること等を考慮し, 後の実験をスムーズに行うため現在pANDAベクターの改変を行っている.花粉管誘引物質の同定には, 花粉管が胚珠からの誘引シグナルにどのように応答するかを生きた状態で観察できるsemi in vitro重複受精系を用いた, 候補物質の花粉管誘引活性解析が必須である. しかしながら, イネ花粉管は一般的に用いられる花粉管伸長培地上では伸長が芳しくないことが明らかになったため, イネ花粉管に最適化した花粉管伸長培地の作製を試みている. またイネ胚珠は組織が厚く内部構造の観察が困難であるため, より詳細な観察のためにイネ胚珠の透明化手法についても検討し, 複数の有効な透明化手法を見出した.