著者
生間昇一郎 本宮 善〓 常深 邦彦 平田 直也 妻谷 憲一 森田 昇 植村 天受 金子 佳照 守屋 昭 吉田 克法 貴宝院 邦彦 平尾 佳彦 岡島 英五郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日泌尿会誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.903-909, 1988
被引用文献数
1

electroconductivity detectorを用いた高速液体クロマトグラフィー法による新しい尿中蓚酸測定法を開発し,この測定法はディスポタイプカラムを用いることによって前処置を簡便化し,さらに発色剤と反応させることなく直接蓚酸イオンをelectroconductivity detectorで検出できる.本法での測定範囲は1〜100mg/lで,再現性はtriplicate assayで,変動係数2.0±3.9%であり,健康成人10人の24時間尿中蓚酸排泄量の平均は25.6±4.7 mg/dayであった.
著者
大森章男 永瀬 謙二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日泌尿会誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.1331-1342, 1986
被引用文献数
1

カルシウム含有尿路結石症のrisk factorである高カルシウム尿症について検討した.まず,本邦健康成人15名を対象として,Ca制限食摂取後,一定の絶食期間をおいた上,経口Ca負荷を行い,その前後におけるCaおよびc-AMPの排泄動態から,当施設における正常域をつぎのごとく設定した.すなわち,絶食時尿中Ca排泄量8.04±6.0mg/100ml GF×100,Ca負荷後尿中Ca排泄量19.02±6.4mg/100ml GF×100,絶食時尿中c-AMP排泄量19.02±6.4mg/100ml GFx100,絶食時尿中c-AMP排泄量3.28±1.44nmol/100ml GF,Ca負荷後尿中c-AMP排泄量2.20±0.88nmol/100ml GFであった.正常Ca尿結石患者(29例)では,健康成人と同様の変動を示し,これらの患者にはCa代謝に異常を思わせる所見がなかった.しかしながら,高Ca尿結石患者(31例)では絶食時尿中Ca,c-AMP共正常で,Ca負荷後尿中Caが増加し,c-AMPは正常のもの(Type1),絶食時尿中Ca,c-AMP共に高値で,Ca負荷後尿中Caはさらに増加し,尿中c-AMPは正常値に戻るもの(type2a),絶食時尿中Caは高値を示すが,c-AMPは正常で,Ca負荷後尿中Caの増加は軽度で,c-AMPは依然正常域にあるもの(type2b),の3つの病型にわけられた.このうち,type1は青壮年の男子に多く,蓚酸Caを主成分とする結石を有し,腸管におけるCa吸収亢進が病因と考えられた.type2aは女子に多く,リン酸Caを主成分とする結石を有し,腎からのCa漏出によるものと思われた.type2bは高年齢層に多くみられ,骨吸収亢進が関与していることが示唆された.さらに結石型原発性上皮小体機能亢進症患者(8例)につき同様の検索を行ったところ,Ca負荷後も尿中c-AMPは高値のままで,上皮小体機能の抑制がみられず,さらに血清Caが対照例,高Ca尿症例に比し有意に高度に増加する特徴を示した.この事実は原発性上皮小体機能亢進症の診断に有用であると思われた.