著者
菅野 理 平野 順治 平野 和彦 久保田 洋子 沼沢 和夫 川村 俊三
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.523-527, 1984

悪性褐色細胞腫に2年6ヵ月間ラベタロールを投与し血圧を良好にコントロールできた1症例を報告する。患者は35歳男性で、末梢冷感、発汗発作、頭痛を主訴に1980年8月9日入院した。術前検査はNora-drenarineのみが高値で、かつ遠隔転移が確認されず、異所性良性褐色細胞腫と診断し手術を施行したが、摘出不可能であった。そこで術後よりLabetalolを投与し、血圧のコントロールを行っていたが、1年3ヵ月後に肺及び骨転移をきたし悪性褐色細胞腫と診断した。Endoxan、Aclacinon、Vincristineによる化学療法で、肺転移巣は6ヵ月間不変であったが、その後増悪し、D1Cを合併し1983年3月15日死亡した。褐色細胞腫の血圧のコントロールにLabetalolは有効であると考えられた。