著者
津持 純 中川 孝之 濱住 啓之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.14 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.41-44, 2016-03-04 (Released:2017-09-22)

筆者らは、超高精細・高臨場感の次世代放送サービスである8Kスーパーハイビジョンの実現に向けて、ミリ波帯(42GHz帯)の電波を用いた8K放送番組素材の無線伝送装置(FPU: Field Pick-up Unit)の開発を進めている。技術的に、周波数利用効率が高い2×2偏波MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)-OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式とミリ波帯の広い周波数帯域幅を用いて8Kの大容量伝送の実現を目指している。OFDM方式は多数のサブキャリアを用いるためPAPR (Peak to Average Power Ratio)が大きくなり、電力増幅器の非線形歪みによる伝送特性の劣化が問題となる。その1つの対策として、OFDM信号のPAPR低減技術による伝送特性の劣化の抑制が挙げられる。本稿では、42GHz帯FPUのOFDM方式にPAPR低減技術を適用し、42GHz帯電力増幅器の入出力特性を用いて行った計算機シミュレーションによって、PAPRの低減量と電力増幅器の非線形歪みによる伝送特性の劣化量の関係を調査した。その結果、PAPRの低減によって非線形歪みによるBERの劣化を抑制できる効果を確認した。