著者
浅野 朝秋 石川 隆志
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-22, 2011-03

認知症者に対する視覚認知課題を用いたリハビリテーションに関する先行研究では,重度者に関する報告は少ない。これは,重度者に対して適切な難易度の課題を設定することが困難なことも一因と考えられる。本研究ではワニワニパニックRT(RT)は重度者でも実行可能な課題ではないかと考え,アルツハイマー型認知症者および非認知症の高齢者各10 名に対し,週1~2 回の頻度で計24 回実施した。結果,HDS-R 各項目および模写課題成績に有意な変化は無かったものの,重度者においても課題遂行自体は可能になり,実験に対する経験の有無を問う質問にも正しく解答できる傾向が認められた。またRT 得点とHDS-R 得点間には有意な正の強い相関を認め,中軽度者のRT 得点は有意に増加し最終的に非認知症者に接近したのに対し,重度者におけるRT 得点は微増に留まり有意差はみられず,反応時間短縮・手続き記憶形成に関する注意およびWorking Memory の関連が示唆された。