著者
佐藤 晃太郎 石川 隆志 浅野 朝秋
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.276-284, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
21

本研究の目的は,「生活行為相互作用評価表」の開発に向けて,原案作成と内容的妥当性の検討を通して試作版を作り上げることである.経験のある作業療法士10名の協力のもと,Nominal Group TechniqueとDelphi法によって内容を収斂し,その後,健常者80名に試行した.その結果,主対象者や実施方法,評価の視点,結果の解釈などを一部改訂し,試作版が完成した.本評価表には生活行為の相互作用を因果的に捉える特徴がある.生活状況や考え方などの質的評価を深める点,相互作用マトリクスによって生活を俯瞰的に分析する点,協業を促進する点などから,作業療法に活用可能な枠組みであることが示唆された.
著者
浅野 朝秋 石川 隆志
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-22, 2011-03

認知症者に対する視覚認知課題を用いたリハビリテーションに関する先行研究では,重度者に関する報告は少ない。これは,重度者に対して適切な難易度の課題を設定することが困難なことも一因と考えられる。本研究ではワニワニパニックRT(RT)は重度者でも実行可能な課題ではないかと考え,アルツハイマー型認知症者および非認知症の高齢者各10 名に対し,週1~2 回の頻度で計24 回実施した。結果,HDS-R 各項目および模写課題成績に有意な変化は無かったものの,重度者においても課題遂行自体は可能になり,実験に対する経験の有無を問う質問にも正しく解答できる傾向が認められた。またRT 得点とHDS-R 得点間には有意な正の強い相関を認め,中軽度者のRT 得点は有意に増加し最終的に非認知症者に接近したのに対し,重度者におけるRT 得点は微増に留まり有意差はみられず,反応時間短縮・手続き記憶形成に関する注意およびWorking Memory の関連が示唆された。