著者
菊地 由美
出版者
東邦大学
雑誌
東邦大学医学部看護学科紀要 (ISSN:1880666X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.9-17, 2007

本研究は、外傷性嗅覚障害が患者の心身や日常生活に及ぼす影響および背景因子との関連性を探り、看護への示唆を得ることを目的とした。外傷性嗅覚障害の診断を受けた患者122名に質問紙調査を行い62名から回答が得られた。その結果、心身の変化や日常生活への影響について、「非常にある」の回答が多かった項目は、危険察知困難、障害の他者理解困難、情緒刺激の減少の順であった。また、「心身の変化や日常生活への影響」と対象者の背景因子をクロス集計し、カイ二乗検定を行った結果、「心身の変化や日常生活への影響」と「症状の変化」、「嗅覚所見」、「調査時年齢」、「受傷年齢」の間に、有意な関連性が示された。影響因子を多角的に捉え、その程度を知ることは、患者理解に有用な情報であることが示唆された。