- 著者
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小嶋 玲子
- 出版者
- 桜花学園大学保育学部
- 雑誌
- 桜花学園大学保育学部研究紀要 (ISSN:13483641)
- 巻号頁・発行日
- no.16, pp.65-77, 2017-10
日本語の自称詞は「人間関係の上下の分極に基づいた具体的な役割の確認とつながっている」(鈴木1973)と言われ、日本語でどの自称詞を使用するかは、使用する人間の対人関係を示す指標となる可能性がある。よって、女子大学生の対人関係の取り方や自己意識を考える一つの指標として、女子大学生の自称詞の使用の2001年と2011年のデータを比較し、10年間での使用の変化について論じた。2011年は2001年に比べて、複数の自称詞を使用している女子大学生の数が増加している。個人内での使用頻度の高い自称詞の10年間の変化としては、「わたし」の使用の減少、「うち」の使用の増加が認められた。「先生」「友人」「親」「きょうだい」の4場面での自称詞の使い分けの調査から、2001年より2011年の方がより頻繁に、女子大学生が場面によって複数の自称詞を使い分けている姿が明らかになった。自称詞使用の選択においては、上下関係よりも親疎関係を基準にしている可能性、及び、使用する自称詞により自身のアイデンティティの表明の可能性が示唆された。