- 著者
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矢竹 一穂
- 出版者
- 森林野生動物研究会
- 雑誌
- 森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.7-12, 2010-03-01 (Released:2017-10-03)
千葉県と山梨県のアカマツが優占する森林でニホンリス(Sciurus lis)の営巣木40例および球状巣23例の測定を行った.営巣場所は林縁木および林縁部の利用も多く,営巣木はアカマツの28例が最も多く,その他カラマツ6例,スダジイ2例,シラベ2例など常緑針葉樹の利用が多かった.営巣木の胸高直径(平均±標準偏差)は26.1±9.7cm,樹高は13.0±3.3m,巣の地上高は10.1±2.5mであった.巣は長径40cm,短径25cm,高さ20cm程度で,巣材は外層が営巣木と同種の小枝,内層はスギ・ヒノキの樹皮が主に利用されていた.小枝は直径約2〜5mm,長さ50〜300mmのものが1巣で53〜116本が使用されていた.リスの巣は球状で鳥類のように皿状ではなく,周囲に内層巣材に利用したスギ・ヒノキの剥皮跡が見られることが特徴であった.また,ムササビの球状巣はリスのものより約1.5〜2倍弱大きかった.