- 著者
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佐藤 嘉彦
- 出版者
- 横浜国立大学
- 雑誌
- 横浜国立大学教育人間科学部紀要. IV, 自然科学 (ISSN:13444646)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.9-15, 2009-02
I investigate seed plants growing wild in Manazuru Peninsula. I wrote comment about the plants of Manazuru Peninsula with Okada in 2007 and We included the plant list which was not yet completed in the comment. I continue the investigation afterwards and found some other plants which I had not collected on the plant list. I will describe that I was provided from the observation in three kinds of these plants. They are Epipogium roseum (D. Don) Lindl., Liparis nervosa (Thunb.) Lindl. and Chloranthus japonicus Sieb. Though Epipogium roseum of the Orchidaceae is a very rare plant in Japan, it was observed a lot in Manazuru Peninsula in 2007 and 2008. Because there was an error in a description of Debregeasia edulis (Sieb. et Zucc.) Weddell of the comment (Okada & Sato 2007) that mentioned above, I will describe the correction.この数年、真鶴半島に自生している維管束植物の調査を続けている。真鶴半島に自生している約160種類の種子植物の目録を、2007年には岡田とともに発表した(岡田・佐藤 2007)。真鶴半島は神奈川県西部の静岡県との県境付近に位置している、およそ3km2ほどの小さな半島である。この半島のある相模湾は海深が深く、表層には黒潮が流れ、深部には親潮の末端が流れ着いており、半島周辺は良好な漁場となっている。その漁場を守るために半島には魚付き保安林が設定され、真鶴町の管理の下で、大切に保全されている。この保安林はクスノキを優占種としたアカマツなどの常緑樹を交えた林である。真鶴半島の海岸線には海岸に特有の植物相が見られ、魚付き保安林の中には山地性の植物も自生している。魚付き保安林としてのこのクスノキ林を宮脇等(1969)は、林の構成の植物社会学的な調査と林内に全くクスノキの幼樹が見られないことに基づいて、人工的に作られたものであると考察している。しかし、自然度の高い林である。目録を発表して後の調査で、目録の作成時には観察できなかった数種類の植物の自生が明らかになった。そのうちの3種類について記述をし、次いで2007年のヤナギイチゴの記述(岡田・佐藤 2007)の訂正と追記をしておきたく、この報告文を作成した。