著者
増田 匡裕
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.444-453, 2012-01-01
参考文献数
12

本研究は不育症の体験が夫(胎児の父親)の対人関係に与える影響を分析し,夫に対するソーシャル・サポートの必要性を探ることを目的とした探索的研究である。当事者グループ会員の40組の夫婦が個別自記入・郵送回収式の質問票に回答した。流産体験が夫の対人関係に及ぼす影響を説明する自由記述回答(アカウント)は帰納的分析法でコード化された。夫へのサポートに対する夫婦の態度を組み合わせ,40組の夫婦は「妻もしくは両方が否定的」「夫婦共に肯定的」および「妻のみ肯定的」の3群に分類された。クロス表分析の結果,「妻もしくは両方が否定的」である夫婦の多くが夫の対人関係に流産の影響はないと記述しているのに対し,「夫婦共に肯定的」な夫婦はなんらかのよいまたは悪い影響について述べているケースが多かった。さらにサポート源に関する変数とのクロス表分析からは,「夫婦共に肯定的」群と「妻のみ肯定的」群の違いが示唆される結果が得られた。