- 著者
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松本 敏治
菊地 一文
橋本 洋輔
- 出版者
- 広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
- 雑誌
- 特別支援教育実践センター研究紀要 (ISSN:18835406)
- 巻号頁・発行日
- no.18, pp.1-10, 2020-03-01
方言主流社会における発達障害に関わる療育・教育関係者の間で語られていた「自閉症は方言を話さない」とする風聞をきっかけにして、ASD の方言使用・理解の研究が進められている。これまで特別支援教育関係者を対象にした質問調査は、ASD の方言不使用という印象が全国で共通するものであること、および方言語彙使用が少ないことを示した。また、ASD の方言理解及びことばの使い分けについての実験的研究の結果は、方言理解自体にも困難を抱えることおよび相手との関係が不明瞭な場合のことばの使い分けに特徴的な反応が見られることを示している。これらの現象の要因として、ASD の社会性の障害に原因を求める説が松本らによって提出されていた。一方、音響音声学の研究者からはASD の音声処理にその原因を求める説が提出されている。本研究ではこれらの研究を概括し、ASD の音声処理、言語習得、そしてことばの使い分けの背景に存在する問題について理論的検討を加えた。