1 0 0 0 OA 編集後記

著者
鈴木 明子
出版者
医学書院
雑誌
理学療法と作業療法 (ISSN:03869849)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.892, 1976-11-15

わが国のPT・OTの歴史について特集号を組んだ.これ迄にいろいろな立場の方が,この2職種の誕生について「外来の血が混っている」とか「純枠に日本製である」とか主張されていた.前者の場合には明治20年代の軍医の橋本乗晃によって医療マッサージが,明治34年呉秀三がドイツ留学から帰国して手や足革を取り除いて裁縫などをさせることで移入したのが始まりのようである.そのまま大正を過ぎ第二次大戦終戦後,昭和24年に小池文英先生,また水野祥太郎先生が海外に出られて欧米の身体障害音のリハビリテーションを視察され,より広義の治療理念と技術を日本で発達させる努力をなさった.昭和38年に清瀬の地に養成校を建て厚生省は外人講師で教育を始めた. 後者の場合には11世紀に京都岩倉村の大雲寺へ皇女の奇行を治すために送り,観世音に祈ることで病気を治すことができ,以来時の権力者(皇族,武士,富裕な町人など)の親族が岩倉村にいき,住民の家の離れに分散して住みながら大雲寺で祈ったり,水ごおりをとったという. (鈴木明子)
著者
砂原 茂一
出版者
医学書院
雑誌
理学療法と作業療法 (ISSN:03869849)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.186, 1988-03-15

これは著者がリハビリテーション(リハと略す)の理念を扱った二番目の著書である.前著『リハを考える』ではいささか肩肘を張っていたし,理論が理論として扱われていた趣があったが,本書では理論がいちいち具体的な事実,事例によって豊富かつ適切に裏打ちされているから,たいへん理解しやすいだけでなく,直ちに日常診療の指針として役だつと思われる.理論を扱いながら同時に実用書としても有効に機能するというのは著者の腕前であろう.油の乗り切った,臨床の修羅(しゅら)場で縦横に活躍を続けている実践家の著書には理論を説いてもそれだけの臨場感があふれるものである.