著者
川畑 公久 福田 馨
出版者
九州産業大学産業経営研究所
雑誌
産業経営研究所報 (ISSN:02880059)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-19, 2004

本稿は、管理職人事の意思決定問題を、T. L. Saaty によって提唱されたAHPによって解決したものである。T. L. Saaty のAHPは、二つの方向に拡張される。一つはグループ型AHPであり、他はファジィAHPである。グループによる一対比較行列は、幾何平均を採ることで、通常の一対比較行列に変換される。ファジィAHPは、AHPの「総合評価値」を「ファジィ積分 (Choquet 積分) 値」で代替したものである。我々のアプローチの現実妥当性を検証すべく、広島市におけるK社の無線LANプロジェクトの「プロジェクト・リーダー決定問題」が分析される。数学的には、「四層分岐型幾何平均ファジィAHP」が考察される。さらに、この問題をコンピュータで解くために、我々によって独自に Mathematica 言語によるコンピュータ・プログラムが開発される。分析の結果は、一対比較行列に関してC. I. 値も相当に低く、満足のいく整合性を示した。その結果、特定の候補者が他を圧倒して選出された。λ-ファジィ測度におけるλに関する総合評価値の感度分析も、安定的な応答を示した。換言すれば、同一候補者がλ値の全域にわたり、他を圧倒して選出された。