著者
渕田 隆史 春原 則子 今富 摂子 後藤 多可志
出版者
目白大学教育研究所
雑誌
目白大学高等教育研究 = Mejiro University Education Reseach (ISSN:21859140)
巻号頁・発行日
no.25, pp.117-125, 2019-03-31

言語聴覚士が対象者と行う会話は、ラポール形成のみならず対象者の言語症状やコミュニケーション能力の把握ならびに訓練課題として重要な意味を持つが、会話に苦手意識を持つ言語聴覚士を目指す学生は少なくない。言語聴覚学科(以下、本学科)では、学生の会話能力向上を目指したプログラムを実施し一定の成果を得ている。しかし、習得がなかなか困難な学生のいること、また、習得がしやすい側面と困難な側面のあることが明らかとなってきた。そこで今回、会話演習における評価点の高い学生と低い学生の会話特性について、聞き手役割の観点から詳細に分析した結果、成績上位群の発話ターンを中心に「あいづち+ 情報要求」パターンが抽出された。この聞き手ストラテジーの使用は「会話への積極的な関与」と「一つの話題の持続性」を示し、適切な会話展開の契機となっていた。しかし成績下位群の会話の分析から、「あいづち+ 情報要求」パターンを使用していても、質問内容が文脈上不適切であれば会話展開の契機とはならないということも示唆された。今回の分析により、会話演習における評価点の高い学生とそうでない学生との具体的な相違点が明らかとなった。