著者
宮入 恭平
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.163-172, 2018-03-31

興隆するライブ・エンタテインメント市場の一翼を担っているライブハウスは、ライブハウス概念の一側面といえるだろう 。その一方で、ライブハウスが広く認知されはじめたのは、ビジネス化にともなうシステム化が確立した1980年代半ばだった。そして、この時期のシステム化したライブハウスは、ライブハウス概念のもうひとつの側面としてとらえることができるだろう。本稿では、多様化する日本のライブハウスの現状を検討したうえで、ライブハウス概念の再考を試みる。まず、ライブハウスに関するデータを更新したうえで、ライブハウスを取り巻く現状を確認する。そして、物議をかもすことになったブログの記事から、既存のライブハウスに対する認識を読み解く作業を試みる。そのうえで、システム化したライブハウスの特徴でもあるノルマ制度に注目しながら、現状のライブハウスに対する認識について検討する。そこから、ライブハウス概念が明らかになる。