著者
細見 和子 Kazuko Hosomi
出版者
神戸女子短期大学
雑誌
神戸女子短期大学紀要論攷 = The Ronko (ISSN:09193650)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.37-50, 2022-03-01

本研究では、「蒸しパン」が、日本において一般庶民の食生活にどのように普及してきたかを調べた。資料として、社会の出来事の報道を一般に伝えるための定期刊行物である新聞を用いて、「蒸しパン」に関する記事を調べた。普及した要因で特徴的なことは次の5点である。1.1906年(明治39)「蒸麵麭の發明婦人」「飯を蒸かしていた昔からある蒸籠での蒸し製法は簡便であり、滋養もあった。」という記事が最初であった。その宣伝広告「家庭で試される手輕食パン製法(蒸パン種製法)」は、度々掲載された。製法は、大正時代にも受け継がれていた。2.1911年(明治44)頃から膨張剤として発酵過程がない「ベーキングパウダー」が使われ、簡易調理であったことが普及の大きな要因であった。3.1919年(大正8)以降、製法の簡便さから、節米で、女子大學生徒晝の弁當、学童弁當や軍事携帯食など、蒸しパンは米飯の代用食になった。4.1941年(昭和16)、お米の蒸しパン製造に成功した。5.2017年(平成29)、材料をポリ袋に入れ、茹でることによる温かな蒸しパンは、防災食になった。 以上のように、蒸しパンが一般の食生活に浸透してきた要因として、ベーキングパウダーが使われ、簡易調理であったことや小麦粉だけでなく他の材料に替わっても簡単な製法で食することができることも大きいと思われる。これらのことより、現在抱えているアレルギー対応食や防災食に応用できることが示唆された。
著者
森内 安子 Yasuko Moriuchi
出版者
神戸女子短期大学
雑誌
神戸女子短期大学紀要論攷 = The Ronko (ISSN:09193650)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.27-33, 2012-03-01

果実に含まれているタンパク質分解酵素の活性法として,授業時間内に酵素を分離精製しないで測定できる方法を検討した結果,基質にカゼインを用いたペーパーディスク法か有効であることがわかった。 パインアップル,キウィフルーツの2種類の果実のタンパク質分解酵素の活性は,ゼラチンのゲル化方法の結果からゲル化に要する時間に差はあるものの,キウィフルーツのほうが早くゲル化した。これは,パインアップルは水分量が多いので粘性が低くなり,その酵素が動きやすくなったためではないかと考えられた。しかし,果汁の上澄み液を酵素試料に用いたペーパーディスク法の結果から,果汁の粘性にかかわらずパインアップルはキウィフルーツよりタンパク質分解酵素の活性が高いことが明らかとなった。