著者
高橋 砂織 渡辺 隆幸 畠 恵司
出版者
秋田県総合食品研究センター
雑誌
秋田県総合食品研究センター報告 (ISSN:21856699)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-16,図巻頭1枚, 2014

秋田県では大豆や小豆の栽培が盛んである。その中で秋田県の在来種である「てんこ小豆」は、秋田市雄和地区で古くから栽培され同地区や秋田県内で小豆の代わりに赤飯に多用されている。てんこ小豆は、黒ささげの秋田での名称であり、小粒で黒大豆様の形態をしている。てんこ小豆で作った赤飯は、小豆の赤飯に比べはるかに濃い赤褐色の着色があり、且つ風味が豊である。てんこ小豆は生産量が少ないこと、単価が高いことなどからその消費は伸び悩んでいる。また、てんこ小豆の機能性に関する研究は皆無である。そこで本研究では、血圧調節系として最も解析が進んでいるレニン・アンギオテンシン系(RAS)に注目して、RASの重要な構成要素であるレニン、アンギオテンシン変換酵素(ACE)やキマーゼを標的酵素として、てんこ小豆抽出液の阻害活性について検討した。さらに、培養細胞系を駆使して脂質代謝改善効果作用も併せて検討することで、てんこ小豆の機能性素材としての可能性を探った。てんこ小豆の機能性が明らかになることで、秋田県内での作付け拡大と消費拡大が期待される。